ひそねとまそたん 12話(最終回)感想&考察&総括!常識破りな締め方は”ひそまそ”の必然!
第12話「無敵の私たち」
ーまそたんがいれば、あいつは無敵だからな。(名緒)
春アニメの締めくくりがこの作品でよかった。そう思わせてくれる最終回でした。言ってほしい言葉を伝えてくれた彼女、誰もが信頼する彼女、そして無敵の彼女たち。
というわけでひそねとまそたん(ひそまそ)第12話(最終回・最終話)「無敵の私たち」の感想と考察を書いていきます。ネタバレがあるのでご注意を!
12話(最終回)の簡単なあらすじ
飯干から明かされたマツリゴトの正体。ミタツ様をお寝返りさせた後に「楔女」で楔、つまりふたをする必要がある、ということを聞き衝撃を受ける一同です。
しかし、巫女にとっては楔女になることは名誉なこととされています。八重ちゃんは樋本と逃げ出す予定が、ミタツ様のあまりの暴走に自ら楔女を買って出ました。
74年前、中途半端な決断をした樋本はひそねに全てを委ねます。ひそねは「誰も犠牲にせず国も犠牲にしない!」と宣言します。先代の「当たり前」に立ち向かいます。
一方、棗はここにきて「気持ちよくない」と感じてしまいます。そこに現れたのはひそね。小此木の取り合いを始めますが、ひそねは棗に「小此木を奪い合うために生きてください!」と告げます。
遂にミタツ様が暴走を始めます。本来であれば眠らせてから儀式を行いますが、急を要する事態になり強制的にお寝返りに入ります。樋本を指揮官に、Dパイ最大の任務が始まります。しめ縄への一撃が外れ、万事休すと思われましたがまそたん・ノーマ自身がしめ縄へ特攻したことでお寝返りは成功します。
生きるために大事なことを見つけていない棗は死にたくない、と小此木に告げます。それでも楔女が必要です。「生きて戻る」と宣言したひそねが自ら楔女となります。
まそたんを逃がそうとしたひそねでしたが、まそたんもひそねと共にミタツ様の内部に残ることを選びます。彼女らの犠牲を持って、マツリゴトは成功しました。
自らの運命から解かれた棗は花屋を目指し。絵瑠と財投は互いに思いを伝え。名緒は整備士としての道を歩み。樋本はジョアおばさんに戻り。誰もが”ひそねとまそたん”が戻って来ると信じているからいつもの日常を送ります。
そして、小此木がミタツ様の眠る土地で出会ったのはー。
以上です。
12話の考察と感想
最終回のキャラで深掘りされたのは、ひそねと棗の2人。共通点があり、2大主人公とも呼べる彼女らです。12話の考察では、2人にスポットを当てて掘り下げます。
大事だから「捨てない」ひそねの思い
「大切なものを守る」。
そう書いたひそねの想いがふんだんに発揮された最終回でした。10話で自衛隊を辞めると宣言したひそねに対し、疑問符が浮かんだ視聴者は多い(もちろん自分もその1人です)と思いますが、今回は当時より成長したひそねを見ることができました。
ひそねはDパイ、小此木、上司、そして棗と大切な人を守るために自ら楔女の役割を買って出ました。一見この行動は10話の自衛官を辞めると宣言し、勝手に失踪した彼女の姿とダブるようにも見えます。
しかし、今回彼女は「必ず戻る」と宣言し、皆の前から姿を消しました。それはかつてのひそねとは大きな違いで。
いくら大切な物や人を守ったとしても、自分が消えてしまえば結局はそれまでです。
自分が犠牲となり、消えてしまえばそれは大切なものを「捨てた」ことになってしまいます。大切なものを守るためには今度は自分が動き、自分という存在も捨てずに戻って来る。彼女の強い思いが感じられました。
こう考えると、最後にひそねとまそたんが戻ってこられたのはひそねの執念によるものなのかもしれないですね。(この部分は総括の見出しでも扱っています)
最後にひそねが描かれなかった理由
最後の最後に描かれた「ひそねとまそたん」の復活。まそたんの姿は映し出されていましたが、ひそねの出演は声だけでした。これはなぜでしょうか。
深読みすると、まそたんの体内でひそねが一体化してしまって映すことができない状態(人の姿ではない「何か」)になっている…等々バッドエンドよりの考察はいくらでも思い浮かびます。
しかし、あののんきなBGM。小此木の最後のセリフである「って!?甘粕さん!?」という発言。長い間まそたんの体内で過ごしていたとすれば…
ひそねさん、スーツが溶けて全裸だったんじゃないか説。
もうこれしか考えられません。小此木大夫、よかったね。(何が)
…真面目な話をすると、「どうやって3か月もひそねは生き延びたんだろう?」という疑問が浮かびますが、名緒さん人形が原型を留めていたことから、実はミタツ様の内部では時の流れが外部とは異なるのかもしれません。そうであれば、ひそねが健康なのもうなずけます。
多分深く考えてはいけないことなのでしょうが、いずれにしてもまそたんの体内でスーツが溶け、全裸で小此木とご対面、これは見せらないよ!エンドだと勝手に思っています(笑)
棗が伝えてほしかったこと、ひそねが伝えたこと
小此木への想いが高まり、名誉であるはずの楔女の職務から逃げたいと感じ始めていた棗。そんな棗の気持ちに火を付けたのは同族マジレッサーひそねです。
ひそね「棗さんがいなくなったら、速攻でハルくんと私いちゃいちゃしちゃいますよ、いいんですかそれで!?」
棗「いいわけない!」
ひそね「だったら…!生きてください!!」
棗をはじめとして、巫女は「巫女として」教育を受けてきて楔女になることは名誉だと思い込んでいました。勿論、飯干らの反応を見る限り周囲の大人も同意見だったのでしょう。それが彼女の周囲では”当たり前”だったのです。しかし、国のためとはいえ誰かを生贄に捧げるというのはおかしな話です。
きっと棗は心のどこかで
「あなたがそんな役割を担う必要はない、生きていていいんだよ」
と誰かに言われたかったのではないでしょうか。楔女として命を落とす間際になりその思いは高まった。でも、誰も止めてくれない。大好きなはずの小此木までー。
でも、周囲のことなんて気にかけないひそねだけは違いました。棗は生きていていい、その言葉を伝えられきっと棗は安心したに違いありません。ひそねだけは自分の”当たり前”を壊してくれました。
ついでに、ひそねが棗に「生きていていい」と伝えたのは、上でも書いた「大事なものだから捨てない」という思いと通ずるものがあります。一番大事な命を簡単に捨ててはいけない、私なら捨てることなく戻れるから…。
ひそねの涙声の叫び声には心を動かされました。
常識に捉われない棗の今後
エピローグを見る限り、棗は小此木への執着心が消えています。代わりに彼女が抱いた夢が「花屋になること」でした。
棗は生まれた時から巫女として生きることを決められ、楔女となり命をミタツ様に捧げることが善だと思い込んできました。
しかし、これからはそんな未来は訪れません。誰よりも覚悟して、その思いをひそねとぶつけあったからこそ棗の表情は晴れやかです。他の巫女メンバーとの温度差もありますが、棗は誰よりも”これから”を楽しみにしているように見えます。
もしかすると、棗が小此木のことを好きだったのは”自分に未来は訪れないから近くにいる小此木に大切にしてもらおう”、という気持ちが産みだしたものだったのかもしれません。
生贄になる未来から解放された棗だからこそ、これまで叶えられないと信じ込んでいた夢に向かうことができます。小此木もそうですが、間違いなく棗もひそねが考え方を変えた人間の1人です。
イケメン財投さんに幸あれ。
絵瑠「じゃあ何にしたいんですか?」
財投「…大事にしたい」
この作品イチの名言かもしれません。てっきり彼女とか恋人とかそういうフレーズが来ると思い込んでいたのですが、いい意味で予想の斜め上をきました。
絵瑠が去った後のはしゃぎっぷりも印象深いです。きっと口は軽いけど絵瑠のことを大事にするに違いありません。イケメンの財投さんに幸あれ。
「ひそねとまそたん」最終話まで見た上での総括・評価
最後に1話から通しての感想と作品の総括になります。
この最終回への評価:一貫したテーマに沿った締め方。唯一がっかりしたのは…
ひそねとまそたんという作品における一貫したテーマは何でしょうか。色々考えられると思いますが、個人的には以下の2つが軸となっているように感じます。
①「当たり前」は決して当たり前ではない(小此木の再三の発言より)
②大切な人やモノに触れることで成長する(ひそねの成長描写より)
特に①が根幹になっていると考えるなら、一見不可解に見える作品の締め方は必然のことです。当たり前の形で戻って来ることはひそねらしくありません。
いつもぶっ飛んだ発言で周囲を振り回してきたからこそ、シナリオ的に説明が付かない部分があったとしても…。あのラストの演出で小此木と再会できたのは「当たり前」を壊してきたこの作品のまとめ方としてとても良いものであったように感じます。
だからこそ、最終回で1つだけ不満に思っている点があります。
ひそねがまそたんを逃がそうとしたこと、これに尽きます。
ひそねが本当に生きて帰れると信じているのであればまそたんに「逃げて」とは伝えないはずです。少しながらでもひそねは自分が戻れないことも頭の片隅にあったからこその発言に思えてなりません。
だとすれば。彼女の「生きて帰る」発言が100%の真実ではなくなってしまい、せっかくひそねが11話をかけて大切にしてきたことを壊しかねない展開も考えられました。
どうして「まそたん、来たいなら一緒に居ようよ」とならなかったのか…。ここだけは唯一がっかりした点です。
どのキャラにもスポットが当たった作品
昨日は「多田恋」の最終回の感想を書きましたが、多田恋との大きな違いがこの点です。どのキャラの側面も(莉々子と真弓は若干弱いけど)描き切ってくれたのが非常に良かった点の1つになります。
素直になれなかった絵瑠。
サポート側に回り皆を見守った名緒。
上司としての苦しい立場(最終回で生贄の話を聞いた際に拳をプルプルさせていたのは最高でした)でも職務を全うした柿保。
ひそねの行動に感化される小此木。
何より、はじめて大切な人と触れ合い成長し、戻ってきた主人公・ひそね。
どのキャラにも存在した魅力的な部分をさりげなく、確実に見せてくれたのが「ひそまそ」です。12話のわずか5時間あまりでバランスよく各キャラを描くのはとても難しいことだと思います。
あくまでひそねにスポットを当てつつ色々なキャラの側面を楽しめる作品です。
名緒さんかわいい。マジセクシージャガー!
最後は超個人的な感想です。結局1話から最終話までアイキャッチ画像はすべて名緒さんに担当していただきました(笑)
Dパイになれずとも、腐ることなく仲間と共に行動した名緒さんに乾杯!
最終回で「誰かが生贄になる」ことを聞き、本気で怒っていた姿は印象的です。
では、最後に作品内の名緒さんベストショット集を。
セクシージャガー賞
5話です。神々しい。
寝起きでもかわいいで賞
7話です。この後ひそね&小此木のデートを追いかけます。これが一番好きかも。
やっぱり笑顔が最高で賞
言葉はいらない。10話です。この笑顔は彼女の成長の証でもあります。
ひそまそ12話(最終回)の感想まとめ
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最後の数話は少し駆け足気味でしたが、ひそまそ最終回の感想でした。ビターエンドになると思っていたのでこの終え方は少し意外ですが、それもふくめてひそまそらしいですね。最後まで何があるか分からないアニメでした。
監督さん、スタッフさん、声優の皆さま。
12話にわたる楽しい時間を本当にありがとうございました!!
自分の中の春アニメが終わってしまいました。良いオリジナルアニメに複数出会え、またその作品の感想・考察を書き切ることができ、とても幸せです。
さあ、次は夏アニメです。また何かの作品でお会いしましょう!それでは。