多田くんは恋をしない 8話感想&考察!晴れた”雨雲”と光良の”無意識行動”
第8話「雨女だったっけ?」
ーどんな君でも、僕は愛している…。(シャルル)
最後のシャルルのセリフに鳥肌が立った…。Aパートで「今回も進展なしかな?」と思いましたが、Bパートで怒涛の展開。作りがうますぎます、このアニメ。
というわけで、多田くんは恋をしない(多田恋)第8話「雨女だったっけ?」の感想と考察を書いていきます。未視聴の方はご注意を!
8話の簡単なあらすじ
星の写真を撮るために、合宿に出かけた一同。神社でおみくじを引き、テレサは大吉で「待人 音信なし来る」の言葉が。一方、光良は凶を引いたものの、「今が一番最悪だと思えば悪くないぞ」と楽観視。旅館に行き、卓球などで楽しむ一同です。
浮かない表情のアレクに音楽プレーヤーを渡すシャルル。”来年はない”ということを実感し、少し落ち込むテレサ。色々な想いを乗せ、星空撮影に移ります。
テレサ「すごいですね!ずっと同じ夢を持ち続けて、目指しているなんて」
薫「そういうテレサちゃんは?」
テレサ「昔…バレエダンサーになりたったんです。背が伸びなくてダメでした」
一連のやり取りを聞き、光良は寂しそうな表情を浮かべます。
全員が寝静まった中、テレサと光良は2人で会話をします。いつも一生懸命の光良のことを褒めるテレサに対し、光良は「心のどこかで大人にならないと、と思っていたのかもしれない」と正直な気持ちを告白します。そして、テレサの”過去の後悔”を尋ねる光良。アレクを泣かせたあの日。あの時に戻りたい、とテレサは言います。
光良「戻れたらいいけど、戻れないからな。一度後悔したことは、二度と繰り返さないようにすればいいんじゃないかな。それが、後悔した意味なんだと思う」
ーこれが、テレサが本当の恋をした瞬間でした。でも、背後でアレクは起きていて…。
偶然起きた薫の大声で目覚める一同。全員星に夢中ですが、テレサは光良を見つめるばかりです。時が過ぎ、シャルルがルクセンブルクに帰る日になりました。別れ際、シャルルは「どんな君でも、僕は愛している…」と心に思います。シャルルが去り、アレクはテレサに「話がある」と告げました。
以上です。
8話の考察と感想
内容自体の考察は大体誰が考えても同じになると思うので、引き続き描写を中心に自分の思うことを書いていきます。もちろん、考察もあります(笑)
雨雲とテレサの感情
描写として、特にすごかったのがテレサが光良に恋するシーンです。テレサの瞳に、光良がくっきり映し出されただけではなく、同時に雨雲に隠れていた星空が綺麗に映し出されました。
あれがデネブ、アルタイル、ベガってどこの超有名曲…。
言うまでもなく、雨雲はテレサの中のモヤモヤした気持ちを表しています。思えば、1話~7話においても、テレサは雨女として扱われてきました。テレサがずっともやもやした気持ちを抱えて過ごしてきたからなんだなぁ…と伏線の1つが回収されました。
8話で、その雨雲が綺麗に晴れました。これは、
過去の後悔を光良がはじめて「意味のあるもの」にしてくれた
ことによります。
光良がテレサに「後悔した意味」を教えたことで、テレサの中でも「これまで」ではなく、より強く「これから」を意識するようになりました。それと呼応するように雨雲が消え、見えたのは美しい星空です。
こういった文章にするととても回りくどくなる想いを、空1つで(しかも、7話までで積み重ねてきたことを視聴者に思い出させつつ)描き切ってしまうのですから、やはり描写が非常にすごいアニメだなぁと再実感しました。
シャルルのセリフとEDの主人公
8話でのもう1つの見どころはシャルルの最後のセリフ。飛行機に搭乗する際に、テレサに対して思ったことです。
シャルル(どんな君でも、僕は愛している…)
表情から考えると、既にシャルルはテレサが光良を好きになっていることを知っています。「テレサをよろしく」というセリフもあり、ひょっとすると
シャルルは2度とテレサに会わないつもりのお別れをしたのでは…
とまで思います。
政略結婚ではなく、本当にテレサのことが好きだからこそ結婚したいのがシャルルの本心です。そして、シャルルはテレサ・アレクの10年前の出来事も知っているでしょうし、何より日本で本当に楽しそうに過ごすテレサの姿を見ています。
シャルルは自分よりもテレサの感情を上に取り、自分から身を引こうと決心した空港の一幕だったように感じます。ひょっとすると、星空撮影に行かなかったのも、テレサと光良に水入らずで会話をさせたいという思いがあったのかもしれません。
8話を見た後で、ED曲を聴くと、EDの主人公はシャルルなのでは、と思います。ED曲には、「あの日君が綺麗すぎるわけを 僕は何も知らなかった」というフレーズがあります。恋をすると女性は美しくなるそうです。
日本にいるテレサがより美しかったのは、多田光良という男に恋をしたからだー
シャルルのそういった想いが込められた1フレーズなのかもしれないですね。
ふいに出た2人のセリフ
描写として面白かったのは光良・ピン先輩がふいに口にした2つのセリフです。
①光良のセリフ「かたじけない」
テレサから水を貰った際に、不意に出た「かたじけない」。このセリフ自体は、7話でも登場していましたが、テレサの前で口ずさむのは初めてです。光良の「かたじけない」を聞いたテレサはどこか恥ずかしそうで、嬉しそうな表情を浮かべます。
ちなみに、この後芋虫状態の薫に会い、光良の腕にテレサが抱き付きます。その後に出セリフは「ごめんなさい」。
これまでの彼女であれば、「あはは、かたじけない」ぐらいに片付けそうなものです。この部分を取っても恋に落ちた後のテレサの動揺が見て取れます(かたじけないはごめんなさいという意味ではないですけどね)
②ピン先輩のセリフ「日向子!」
星空を見て、はじめは「委員長!」と日向子のことを起こしますが、彼女は眠ったままです。そこで、体をゆするわけでもなくピン先輩は「日向子!」と一言。自分の名前が呼ばれたことで、日向子は目覚めます。
やっぱりピン先輩も日向子を意識しているし、同時に眠っているのに自分の名前をピン先輩に呼ばれただけで、すぐさま起きる日向子が微笑ましいです。
「恋をしない」のではなく「恋をするという感情が無い」?
5話の感想記事で、僕は光良について、以下の通り考察しました。
アバンで父親に言われていた「ゆいとじっちゃん、ニャンコビックを頼むぞ!」というセリフを最後に両親は他界してしまいました。この言葉が一種のトラウマのようになり、光良の心をどこか凍りつかせ恋愛も無自覚のうちにストッパーをかけてしまっているのかもしれません。
(5話感想記事より)
8話で、この考察は遠からず当たっていたことが示されました。「早く大人にならなければ」と思い続けていた光良。
この結果として「恋をしない多田くん」が生まれた
と考えると非常に自然です。もちろん、光良が狙ってそうしているわけではないと思いますが。
それでは、光良は本当にテレサに恋に落ちていないのでしょうか。以下の見出しで、8話で見られた光良の行動の変化について考察していきます。
光良の目立たない2つの行動
とうとう「テレサ」と名前呼びをする!
夜空の下、テレサの過去を問う光良は「テレサも何かあったのか?」と言いました。7話までを全て見返してみないと、はっきりしたことは言えませんが、確か光良がテレサのことを名前呼びしたことはなかったような気がします。
恐らく、互いの過去の「後悔」を語る中で、不意にでてきた言葉だったのでしょうが、光良の心がテレサに惹かれていることが分かります。
人間の被写体はテレサだけ…?
こちらも、全話を見返してみないと正確なことは言えませんが、「戦慄のニャンコビッグ」用の写真を除くと、光良がテレサ以外の人の写真を撮っているのはあまり記憶にありません。
一方、テレサのことは1話で出会った時から写真におさめています。これも、彼が無意識に彼女に惹かれていることを表しています。
そもそも、1話の時点でテレサの写真を撮っていたので…。実は、恋をしていないように見えて、
無意識下ではじめに恋をしたのは光良の方だった
のかもしれません。
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というわけで、第8話「雨女だったっけ?」の感想と考察でした。相変わらずの描写表現のすばらしさ。1つ1つをもっと細かく見ていくと、まだまだ書けることはたくさんあるような気がします。
そして、第9話は「今は、もう、ない……」。不穏なタイトルと、目を合わさないように見えるテレサとアレク。更に、風邪を引く光良…。アレクがテレサに伝えようとしている内容を皮切りに、更に物語は動きそうです。
それでは、この辺で。
【追記】9話の感想&考察記事を書きました!!