多田くんは恋をしない 9話 感想&考察!恋に歯止めをかけるのは、彼女自身。
第9話「今は、もう、ない…」
ーテレサ、終わりましたか?
ー…はい。(アレク&テレサ)
ベタベタな展開だけど、表情も描写もテンポも最高すぎて、がっつり引き込まれました。テレサの涙だけでなく、ニャンコビッグの表情もまた…。
というわけで、多田くんは恋をしない(多田恋)第9話「今は、もう、ない…」の感想と考察を書いていきます。9話までのネタバレがありますので、未視聴の方はご注意を!
9話の簡単なあらすじ
過去。テレサの乳母からアレクと共に、れいん坊将軍の話を聞かされるテレサ。日本への憧れを強くしたテレサは、留学先に日本を選択します。
時が流れ、現在。テレサは「多田光良に恋をしたのですね?」と空港でアレクに問われてから様子がおかしくなってしまいます。
様子はおかしいものの、芋虫を取ってもらったり、傘を貸してもらったりとテレサはますます光良に惹かれます。そんな光良は、傘を貸したことで薫と豪雨の中で帰ることになり、コンクールの写真を選んでいる最中に倒れてしまいます。
多田珈琲店に戻る一同。各々、看病や店の手伝いをし、光良を気遣います。テレサは、店の手伝いをする最中に老夫婦から「れいん坊将軍展」のチケットを貰います。
アレクは仕事をしながら、空港でのテレサとのやり取りを思い出します。「光良を好きになったのか?」という質問に対し、「だとしても、私は女王になる」とテレサは告げていました。
光良の元へ、1人で向かうテレサ。彼女は、光良が撮ったこれまでの写真を見ます。光良の表情を見るうちに、テレサは眠る光良にキスをしてしまいます。それを見ていたのはニャンコビッグただ1匹…。でしたが…。
アレク「テレサ、終わりましたか?」
テレサ「…はい」
そして、Cパート。風邪が治った光良にテレサは「お願いがあります」と話します。
以上です。
9話の考察と感想、見どころ
前半はいつもの軽いテンションでしたが、後半3分の衝撃が強すぎました。シナリオは特別な展開ではないのに、描写でここまで心が引き込まれるアニメはそこまで多くないと思います。
「ごめんなさい」とあふれる涙
とにかくすごい描写。テレサが光良にキスをした後、テレサは「何で私こんなことをしたんだろう」という表情を浮かべます。
それから涙で視界が歪み。「ごめんなさい…」と一言。そこからニャンコビッグが慰めにくるわけですが、ここまでの一連の演出が本当に美しいです。
テレサが言った「ごめんなさい」は何重もの意味が込められているように思います。
・光良への抑えきれない恋心から
・「女王」としての自分のふがいなさから
・光良へのキスが、自分を好きでいてくれるシャルルを裏切ることになるから
・親友であるアレクを裏切ることになるから
等々、数えきれない想いが混ざり合い、不意の涙になってしまいました。それにしても、最初にあふれ出た涙を客観的に映し出すのではなく、テレサ視点で視界が歪んでいく表現方法が本当に好きです。
ちなみに、ニャンコビッグが悲しそうな表情を浮かべて、涙を流すテレサに寄り添った時、多くの視聴者の人が
大塚さんボイスでのニャンコビッグは何を思っているんだろう?
と考えたと思います(少なくとも自分はそうでした)。これは、3話のニャンコビッグ回の効果ですね。正直、評判ほどには3話が好きではなかった自分ですが、9話のこのシーンへの布石だったのか、と考えると3話をもう一度見直したくなります。
もちろん、ニャンコビッグの鳴き声(CV:小澤亜李さん)も素晴らしいものでした。あの鳴き声で、9話は何倍にもいいものになっています。
「はい」の返答が物語るテレサの感情
ひとしきり涙を流した後、Cパートまでテレサの表情が描かれることはありませんでした。その中でのアレクとのやり取りが
アレク「テレサ、終わりましたか?」
テレサ「…はい」
です。”終わった”のは、看病が終わったこともそうですが、テレサが自らの恋心を”終わらせる”ことにもかかっています。「はい」という返事を、テレサが迷いなくアレクに返したのも胸が痛くなるポイントです。
テレサが1人、光良の部屋で考えたことは
自分の恋心さえ封印すれば、全てが丸く収まり”終わる”
ということでしょう。翌日に彼女が光良に持ち掛けたのは「とあるお願い」。
このお願いの内容は、光良との最後の思い出作りに「れいん坊将軍展」を見に行くことだと思いますが…。10話の流れはより一層テレサが光良に惹かれるのか、それとも光良がとうとう恋をするのか、で残りの展開が大きく異なってきそうです。
吹っ切れたようなテレサの笑顔も、見ているだけで辛いものがあります。
最後の別れ際には正体も明かすのでしょうか。光良が恋をするのか、しないのか…。どのような返答が聞かれるのか非常に楽しみです。
残りの話でこれまでの蓄積が生きる!~光良&テレサを中心に添えなかった理由
特に序盤は、光良×テレサ以外のカップリングも丁寧に描いてきた多田恋。そして、ここ2話で一気に光良とテレサの話にクローズアップしています。
残りのカップリングについては、各人物がどういった行動を取るか、想像がしやすいところまで描き切っています。つまり、残りの話の中で、光良×テレサ以外の描写を多く用意せずとも、他のカップリングについては十分なところまで描写されています。
1話~7話までは正直「なんで光良を中心に描かないんだろう…」とも思っていましたが、全ては残りの話のため。他のキャラについて既に各1話を使ってしっかり描いていることで、ストーリーの制作側も、視聴者側も光良・テレサの今後にどっぷり集中できるようになっているのですね。
レイチェルとゆいが似ている?
最後に、1つ考察要素を。今回、テレサの乳母であったレイチェルが登場しました。アレクと共にれいん坊将軍の話を聞かされていた、というのも驚きでしたが、最大の驚きは彼女の姿がゆいに似ていたことです。
シャルルが珈琲店の写真を見て反応した理由、じっちゃんとレイチェルが星について同じことを語っていた理由、そしてレイチェルとゆいが似ているという事実…。
ひょっとすると、
本当にレイチェルとじっちゃんが結婚していた…
のかもしれません。ただ、2人は身分が違い過ぎ、離れ離れになってしまった…と。ありそうではあるけど、少し唐突過ぎるかなとも思っています。
2人がどこで知り合い、どうしていたのかは非常に気になるポイントです。写真は残っているので、レイチェルが多田珈琲店に在籍していたことがあるのは間違いなさそうですが…。
実は、ラルセンブルクの王様は光良でした!!とかなれば皆ハッピーなんだけどねぇ…。いや、シャルルにとってはハッピーではないか…。
とにかく「ローマの休日」と似ていると評される多田恋。しかも、写真を題材にしているところがまた…。全員がハッピーエンドになる道はかなり難しそうですが、9話を見せられるとテレサにはせめて笑顔で最終回を迎えてほしいと思います。
多田恋9話のまとめと10話に向けて
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というわけで、多田恋9話の感想と考察記事でした。次回で「第1のクライマックス」を迎えそうな雰囲気が漂っています。そこから更に物語は動き、最終回で光良・テレサはそれぞれ選択をするのでしょうか。うーん、楽しみです。
第10話は 「本物、じゃないよな」です。二人っきりのデート回。それでは、この辺で。
【追記】10話の感想記事を書きました!