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宇宙よりも遠い場所 13話(最終回)感想&考察! 強くなった彼女らは、きっと旅に出る。

第13話「きっとまた旅に出る」

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すっきりできる素晴らしい最終回。ここまで満足できる作品は久しぶりだったかもしれません。挿入歌3つ入れてくるのはびっくりでした…。

というわけで、宇宙よりも遠い場所(よりもい)第13話「きっとまた旅に出る」の感想と考察になります。13話ならびに、12話までのネタバレがありますので未視聴の方はご注意を!

あらすじ概要

キマリたちが帰国するまであと3日。とにかく生活を目いっぱい楽しむ一同です。そんな中、キマリが3人に「越冬するのはどうか?」と問います。でも、各々にはそれぞれの生活があるわけで…。

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キマリは「次は4人で越冬しよう」と提案します。今度は皆この提案に賛成。誰も笑ったりせず、キマリの問いかけに”本気で”答えます。

 

最後だから、と吟たちはキマリたちに何をしたいか尋ねます。出てきた答えは「ここにいるみんなで遊びたい」。野球をしたり、そうめん流しをしたり…。報瀬は髪をショートカットにし、その姿があまりに貴子と似ていることに大人たちは驚きます。

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そして、キマリたち夏隊の帰還式が開かれます。スピーチ代表は報瀬です。

報瀬「ここはすべてがむき出しの場所です。時間も、生き物も、心も。守ってくれるもの、隠れる場所が無い地です。私たちはその中で、恥ずかしいことも隠したいことも全部さらけ出して、泣きながら裸でまっすぐ自分自身に向き合いました。一緒に、1つ1つ乗り越えてきました。母がここを愛したのは、この景色と同じぐらいに仲間と一緒に乗り越えられる時間を愛したのだと。…私はここが大好きです。必ずまた来ます、ここに。」

報瀬のスピーチに、涙が流れる一同。そんな中、声を震わせることなく、報瀬はスピーチを終わらせました。

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帰りの船上。船からオーロラを4人で見ている際に、吟から転送された最後の「送信メール」。そこには、「本物はこの1万倍綺麗だよ」という文章に、オーロラの写真がありました。100万円と貴子のパソコンはそれぞれ南極に置き、吟に預けていました。

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帰国後、4人で一緒に帰ると思いきや…。キマリは「ここで別れよう」と告げます。もう、私たちは私たちだから、と。こうして4人の生活は普段の物へと戻っていきます。キマリはめぐみに帰国したメッセージを送りますが…。なんとめぐみは北極に行っていました。驚きを隠せないキマリは「なんでー!?」と連呼。しっかりとオチを持ってきた作品でした。

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以上です。

13話の感想・見どころ

強くなった象徴、笑顔。

13話で印象に残っているシーンはたくさんあります。報瀬のスピーチ、オーロラ、衝撃(笑撃)のラスト…。しかし、個人的には結月のこのセリフです。

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(帰りの船内にて)
キマリ「まあ、いいよ。また何回も吐いて、わー、気分悪い、死にたいってなって」
日向「まぁ、いいじゃん。それも旅だ」
結月「何か私たち、ちょっぴり強くなりました?」

この「強くなった」を象徴しているように感じたのが、13話で度々強調されていた4人の笑顔です。特に、「このまま南極に居よう」と言った際のキマリの笑顔と、髪を切った後の報瀬の表情は非常に心に残っています。

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「よりもい」は感想記事でも何度か書いているように、”涙”がしっかりと描かれている作品です。特に、パスポートを紛失した際の日向の涙はとても印象的です。

そして、10話の結月回での涙、11話での日向回での涙、12話の報瀬回での涙…。どれも名シーンと言える場面には各キャラの涙がありました

一方、13話で4人が泣いているシーンは報瀬のスピーチの際だけです(ラストシーンのキマリは除く)。報瀬に至っては泣いているかどうか分かりません。というか、泣いていないと信じています。

「この4人で」泣いて、乗り切ってきたからこそ得られた心の強さ
その答えが13話の涙→笑顔への転換のように感じます。

 

そして、別れのシーン。笑顔でキマリはこう伝えます。

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キマリ「ねえ、ここで別れよ。一緒に居られなくても、一緒に居られる。だって、私たちはもう私たちだもん!」

長旅で、彼女らが得た答えはこのセリフにすべてが凝縮されています。

「友だち」となったからこその南極生活

13話は、10話~12話とは一転し、楽しそうな南極シーンが数多くありました。

上記の涙→笑顔の転換と通ずるものがありますが、ただの南極生活を描くだけのAパートでも多くの視聴者が(少なくとも私は)心を奪われ、感動を覚えたのは10話~12話で描いてきた「友だち」の深掘りが大きく効いています

 

10話と11話で、4人が「友だち」の意味を深く理解し、そして真の友だちになります。12話では母の死を実感し、夢から醒めた報瀬と一緒に泣いてくれる友人が描かれました。他の3人がいるから、4人だから、意味のある南極生活になる

このことを見ている人の誰もが感じているから、何気ないシーンにも意味が持たせられます。涙と、強くなった彼女らに待っているのが楽しい南極生活なのです。

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日常パートである南極生活を持ってくるのはここしかない!というタイミングでの13話のAパートでした。

報瀬が吟の球を打った際に、貴子→報瀬と表情が一瞬変化した描写は最高だったなぁ…。

憎すぎる演出①:空とメールのダブルコンボ!

前回の感想記事(

宇宙よりも遠い場所 12話感想&考察!止まっていた時間が動き出す! - アニメのおすすめなどを語るブログ

で書いていていたのが、13話で描いてほしいシーンでした。当記事の中で、
①綺麗な空の描写(貴子が最期に見たであろう景色)
②残された送信メール
を描いてほしい、と言う風に記していました。

 

まさか、この2つが最後にタッグで襲い掛かってくるとは…。

見られなかったオーロラを4人で船上にて見ている最中に、吟から報瀬にメールが転送されてきます。それは、貴子が残した最後のメールで…。

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”過去の道が現在に繋がっている”ことも、作品内で何度も描かれていますが、最後の最後で完全に過去と現在がシンクロしました。母親が残した「本物は1万倍きれいだよ」というメールを見つつ、娘は「本物」を見ているわけですから…。

 

というか、地味に母親のメールが通知としてきて、かつバックに南極隊員の写真がある風景ってすごいですよね。報瀬がこの写真を待ち受けにしているのを見ただけでもう…。

本当に、描き方の1つ1つまで視聴者の想像を超えてくる作品です。 

憎すぎる演出②:EDのテロップと絶交取消への答え

EDでは、日本に帰還後の彼女らの姿が描かれました。
母親に南極の氷が入ったロックのお酒を供える報瀬。バイト先の人が、ポスターを作ってまで待ってくれていた日向。同年代の女の子からサインをねだられる結月。大好きな家族が、大好きな卵料理で待ってくれていたキマリ。

かけがえのないものを見つけたからこそ、彼女らは日常の幸せにも目を向けて生活していけそうです。そうして、きっと彼女らは「置いてきたもの」を求めに、もっと強くなってまた旅に出るのでしょう
各キャラのクレジットタイトルが同時に出た演出にもグッときました。

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そして、問題のCパート。めぐみがLINE(的な何か)で、キマリに北極に行っていることを伝えます。ここのシーンで既読が一気についたのがよかったですね。恐らくめぐみは、キマリが帰って来るそのタイミングを見計らっていたのでしょう。

 

このメッセージに対するキマリの反応は「なんでーー!?」。
もちろん、これは5話でめぐみに絶交宣言をされた際に呟いていた「なんで…?」と対比しているものだと思われます。

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「絶交取消!」と一方的に伝えられためぐみの答えは、同じ「宇宙よりも遠い場所」に向かうこと不器用な彼女らしい答えの出し方です。地味に、過去に出てきた「極地への旅」の伏線も回収しています。

 

それにしても、陸上部の面々が出てこなくて本当に安心しました。これにより、一層、めぐみの登場が映えるものになったと思います。

1話との大きな対比、2つ。

13話と1話と比べると、多くの発見があります。ここでは、その中でも特に目立った2つを書いてみます。

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1つめが1話のモノローグと、13話のエピローグ。1話はキマリの独白から始まっているのに対し、13話は4人の語り口でこれからの生活について語られています。これは、4人で溜まっている淀んだ水の囲いを決壊させ、流れ出させた結果です。1話では持っていなかった”何か(強さでもあるし、友だちである)”を持っているからこその4人一体でのエピローグに繋がります。

 

もう1つは、めぐみの行動。めぐみはキマリにこう語っています。

めぐみ「(当てのない旅にキマリに誘われて)そういうのは、1人で行くから意味があるんじゃない?

キマリに送られてきた写真は1人で映っているめぐみの写真。もちろん、1人で行っているわけはないと思うのですが…。それでも、めぐみなりに自分の発言への解答を用意してくる展開はさすがだな、と感じました。

ひょっとすると、ひょっとしたら1人で行った、なんてこともあるかもしれません。まあ、それよりもめぐみが新たな”友だち”を見つけた展開の方が心が救われる気がしますが。

全体を通して~アニメ初心者にこそおすすめしたい作品!

とても良い作品でした。アニメ大好き!という人にも見てほしいですが、「初めての作品」としてもおすすめできる作品になっています。個人的に感じた良ポイントを3つほど挙げておきます。

無駄がまったくない構成

以前も書きましたが、「だれる」話が1話も無かったのが非常によかったです。とにかく、1シーン1シーンが次のシーン、話に繋がります

無駄がない作品だからといって、各キャラを深く掘り下げていないかというと全くそんなことはなく。丁寧かつ、コンパクトに、しかも細部までキャラを描き切っている作品にはそう出会えるものではありません。

 

どんな名作でも2クールあると「長いな…」と感じることもしばしばですが、宇宙よりも遠い場所に関しては退屈と感じることが一瞬も無かったことが印象的です。

「2期があってはいけない」と思わせる最終回

宇宙よりも遠い場所という作品は、13話で綺麗に完結しています。余すところなく各キャラを描き切り、成長させました。

1クールの作品だと「続編が見たい!」となりがちですが、このアニメは良い意味で「2期なんて作らないでほしい!」と感じます。この綺麗に収まった作品に何かを付けてしまうことは、蛇足なだけではなく、無駄なく描いてきた13話にもケチをつけかねないように感じます。

そして、13話で完結するからこそ、気軽に見られる作品に仕上がっています。難しく考える考察も必要ないしね。

 

…でも、「Side-B」みたいな感じで、めぐみを中心に描いた作品であればよさそうかな、とも思ったり。↑と言っていること真逆すぎますねw

ドストレートの展開は心を震わせる

突然キャラが死ぬ、とか、唐突に新キャラが作品をかき回す、とか、大どんでん返しがラストに待っている、とか。ゲーム・アニメに関わらず、ドラマや映画・小説でもこのような展開はとても多いです。事実、自分は媒体に関わらずそういった作品が大好きです。

一方、宇宙よりも遠い場所はとにかくまっすぐな作品。1つ1つのシーンを見てみると「王道」と感じることも多いです。それでも、ネット上の盛り上がり等を見ていると、よりもいは人の心をつかんで離しません。

これは王道を突き詰めて描いていることに加え、視聴者の皆さん(自分含む、というか自分そのもの)が変化球に慣れきってしまっているためではないでしょうか。たまには、こんなど真ん中ストレートな作品も楽しいなーと思います。また、そんな作品だからこそ、普段アニメを見ない人にも見てほしいと強く感じる作品に仕上がっています。

おわりに

スタッフ、キャストの皆様のおかげで素晴らしい作品に出会えたことに感謝です。Amazonでの発売予定日は明日になっています。微力ながら、円盤を購入することで、感謝の意を述べたいと思います。

宇宙よりも遠い場所 1(イベントチケット優先販売申券) [Blu-ray]

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TVアニメ「 宇宙よりも遠い場所 」 オリジナルサウンドトラック

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僕自身としては、久しぶりに感想記事を書いたアニメです。アニメの素晴らしさを再実感するとともに、心に残るアニメの1つになりました。

次クールはオリアニがたくさん。ぜひ、またこのブログも覗いて頂ければ、と思います。それでは、また次の作品でお会いしましょう!

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