荒ぶる季節の乙女どもよ(荒乙) 12話(最終回) 感想&考察&評価!2人を乗せる電車と白黒の対比
第12話「乙女心のいろいろは」
ーそう!かっこいいし、いつかは…(和紗)
夜の学校のカオスっぷりが最高でした!それぞれが得た結論、彼女らが向かった先は、また次の真っ暗なトンネルでした。
というわけで、荒ぶる季節の乙女どもよ 第12話(最終回)「乙女心のいろいろは」の感想・考察記事になります。作品全体を通したネタバレがあるので、未視聴の方はご注意を!
(注意:管理人は原作未読です。ご了承を)
荒乙 12話のあらすじ・ネタバレ
文芸部は立てこもりを決行しますが、決行日が金曜ということで先生たちが帰ってしまいます。り香たちと泉も学校に来ることが決まり、新菜は「(泉に)告白するタイミングは今なのかも」と呟きます。
百々子は新菜が告白する決心をしたのが、自分との電話の後だったことに気が付き、告白しないでと訴えます。この押し問答を泉が聞いていました。
百々子の発言で泉は「好きなのは和紗だけど、性的欲求を感じるのは菅原さん」というトンデモ発言をします。その場に一気にり香、ひと葉たちも集まり、大騒動になります。
事態を見かねた山岸先生は「色鬼」をすることを提案します。百々子は新菜を、新菜は和紗をロックオンします。色鬼の最中に、和紗と泉は互いに性的な目で見ることはまだ恥ずかしいこと、それでも相手を好きなことを伝えあいます。
新菜は2人のやり取りを聞いていました。一方で、教室でり香と駿は教室でキスをしようとします。ひと葉は「男がいるとよくない」と男性陣を帰らせました。
文芸部5人が教室に残りやったこと、それは白い紙にカラフルに想いの丈を書き殴ることでした。それを見た山岸先生の姿はどこか嬉しそうで…。
それぞれの季節の再スタート。和紗と泉を乗せた列車は、トンネルに”入って”いくのでしたー。
以上です。
12話の感想と考察
怒涛の展開で締めくくられた最終回。細かな描写などを全て拾うと、とんでもない分量になるため、いくつかピックアップして書いてみたいと思います。
止まらない電車と真っ暗なトンネル
1話で和紗が暴走した際にも、今回の最後のシーンでも用いられた列車。泉が列車好きということもあり、キーアイテムの1つとして扱われました。
印象的だったのは、12話冒頭のひと葉の言った「止まらない列車に乗っちゃったんですよ、我々は!」という発言です。
それを体現するかのように、泉の性的な欲求発言、駿の過去の恋愛、百々子の涙と次から次へと物語が展開していきました。
まさにブレーキの壊れた特急列車のような最終回だったと思います。
1話の終わりは、和紗がトンネルに入った列車を見て「入った…」と呟くシーンで終わりました。
そして、最終回でも列車がトンネルに入るシーンと共に「入った」というセリフで締められました。
この2シーンの最大の違いは、和紗が電車に乗っているか否か、ということです。
1話の時点では和紗にとっての”荒ぶる季節”はまだ始まっていませんでした。でも、今は泉と共に、青色の荒ぶる季節の真っただ中にいます(=”列車”という青春に乗車している)。
5人は白い紙に想いを書き殴り、これからの自分たちを描いています。
一方で、トンネルの中は真っ暗闇です。「何があるか分からない将来」を自由に描ける白と、色を上塗りできない黒の対比で描いたとてもいい描写だったと思います。
百々子の主張と「純潔」の関係性
作品全体を通して、一番感情が掴みにくかった百々子というキャラクター。最終回で、彼女は意中の相手である新菜にこう言いました。
百々子「告白しないで!これ以上私のこと傷つけたくないなら告白しないで!私はそんなこと望んでない。ずっと本音隠しててよ!私傷ついたっていいよ!それより菅原氏が誰ともつきあわないでいてくれた方がいい。ずっといい!」
百々子はこれまで、和紗のため、新菜のために行動しようとしてきました。しかし、今回の発言は2人のためではなく、百々子自身のためにされたものです。
百々子がはじめて明確に”自分の欲望”をさらけ出したシーンでした。
百々子の主張の意図には、当然「万が一新菜と泉が付き合うことになったら新菜が今よりも遠くに行ってしまう」ことを恐れたから…という意味合いもあるでしょう。
ただ、百々子はきっと新菜が誰かに告白するという行動自体が嫌だったはずで。この辺りは三枝の発言と通ずるものがあると思います。
明確に自分以外の誰かが好きと言ってしまうことで、それだけで百々子にとって新菜が遠くに行ってしまうように感じてしまうから、告白すらもしてほしくないと言ったように感じます。三枝の言う「少女で無くなる瞬間」に近いような気がします。
新菜の「心の純潔」が泉への告白によって、1つ色を持ってしまうわけです。
好きな相手であれば、相手の心の純潔に自分の色を最初に垂らしたいと感じるのは当然のことではないでしょうか。
和紗・泉ペアとひと葉・山岸先生ペアの結末
ブログ内でも何度も扱ってきた、この2カップルについて簡単に書いておきます。
<和紗・泉ペア>
紆余曲折ありましたが、無事に結ばれた2人。泉の「好きなのは和紗、性的な欲求を感じるのは新菜」という発言は見る人によって捉え方が変わりそうです。
泉は1話から描かれているように、真面目な男性です。
言い方は変になってしまったけれど、新菜を傷つけないために、新菜を評価するような発言をしようとして、こんなセリフになったのではないでしょうか。
10話での「和紗が好きなのに、新菜に反応してしまった」ことへの彼の自責の念が解消されるような展開になり、泉・和紗ペアが好きな自分としては嬉しいです。
<山岸先生・ひと葉ペア>
こちらは、山岸先生が富多先生と結婚するエンドとなりました。しかし、山岸先生はひと葉を拒絶するわけではなく「面白い」と評しています。
それは、ひと葉が”せめて”なし得たかったことです。山岸先生にこう言われた瞬間に、ひと葉は自分が「面白い」以上の存在になれないことを悟ったのではないでしょうか。
こうして、ひと葉は、ミロ先生から山岸先生へと呼び方を変えました。
ひと葉が恋をした「強い子のミロ」はもう存在せず、生徒と教師という元の形にこの瞬間に戻りました。
言い方を変えた時には涙をこぼして、2人の結婚式の余興を用意しているときの彼女の表情は笑っていて。個人的に、一番幸せになってほしいキャラがひと葉です。
すれ違ったサブキャラに感じる「もしかしたら」の可能性
最後は小ネタのようなものを。EDで列車を待つ和紗・泉の後ろを2人の人間が通りかかります。三枝と杉本です。
泉たちは彼らが後ろを通ったことを知りません。自分の知らない所で、物事は動いている、ということを感じさせる演出でした。
夜中の学校の暴露大会で、それぞれのキャラにしか知らないこと(例えば、新菜と泉の一件は和紗は知らないことでした)が一気に明かされました。
少し行動を変えれば、杉本の隣を歩くのは百々子だったかもしれないし、三枝と新菜は一緒にいたのかもしれません。
この描写で、それぞれのキャラにとっての「荒ぶる季節」が存在することを表現したかったのかもしれないですね。
…それにしても、杉本の隣を歩く女性の顔があきれ顔にも見えなくもありませんwこれが「杉本らしさ」なのかもしれないですね。
「荒ぶる季節の乙女どもよ」最終話まで見た評価・レビュー・感想
1話の衝撃的なTRAIN TRAINから始まり、最後も電車で締めた物語。
岡田さんの作品ということで、どうせドロドロするんだろうなぁと思っていましたが、期待を上回る面白さで大満足です!
「荒乙」のいい所は、誰に感情移入するか・視聴者自身の過去などによって見る人それぞれが全く違う感想を持つことができる部分だと思います。
だから、正直「合わないな」と感じる人もいた作品だったのではないでしょうか。
自分としてはやっぱり泉、山岸先生が好きだったので、彼らの行動や発言が毎回面白くて大好きでした。あと駿くん(大学生ver)がイケメンすぎません?
めちゃくちゃ楽しかった夏クールの中でも、かなり面白い作品に分類された作品だったと思います。
最後に、
この作品に携わっていた全ての関係者の皆さん、面白い作品を作っていただきどうもありがとうございました!
アニメ「荒ぶる季節の乙女どもよ」12話感想まとめとご挨拶
荒ぶる季節の乙女どもよ。(1) (週刊少年マガジンコミックス)
- 作者: 岡田麿里,絵本奈央
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というわけで、荒ぶる季節の乙女どもよ。最終回の感想記事でした。
(今回もですが)更新曜日がずれることが多々あった作品だったにも関わらず、たくさんの方に読んでいただき本当にありがとうございます!
また、Twitterを中心にRT等で記事を紹介していただたり、リプで感想を送っていただいたりと嬉しいこともたくさんありました。
読んでいただいた全ての皆さま、どうもありがとうございました!
また、今期は他に「グランベルム」「まちカドまぞく」の記事も書いています。最終回は今週末にあるので、ぜひこちらも覗いてみてください~
また、来期のおすすめアニメはこちらから確認してみてください!
というわけで、この辺で失礼いたします。また別の作品の記事でお会いしましょう!