八月のシンデレラナイン(ハチナイ) 4話 感想&考察!翼・龍の”違い”と見せなかった判定の狙い
第4話「分かれ道に立っても」
ー誰が諦めるって?終わりは私が決める、ここは私の野球の終わりじゃない!(龍)
王道なストーリー運びが本当に面白いです!翼と龍の中学時代のわかりやすい対比、あえて判定を見せない演出などなど、ストーリー以外の部分も光っているエピソードでした。
というわけで、八月のシンデレラナイン 第4話「分かれ道に立っても」の感想と考察になります。4話までのネタバレがあるので、未視聴の方はご注意!
(注意:管理人は原作ゲーム未プレイです。ご了承を)
ハチナイ 4話のあらすじ・ネタバレ
リトルシニアの全国大会。翼が所属していた藤浦は、圧倒的劣勢の状態から龍のチームを撃破しました。要因となったのは、翼のムードメーカーっぷりと龍のチームの内部分裂でした。
翼はその後「男子には違う目標がある」という理由で野球をやらなくなります。智恵は翼がまだ野球を好きであることを見抜き「今度は私も混ぜて」と伝えます。
翼の昔の話を聞き、綾香も同好会に入ることを決めます。「集まってくれてありがとう」という翼に、夕姫たちは「やりたいから集まったのです」と伝えます。
土曜日。龍のトライアウトの日に、同好会の面々が龍を応援しに来ます。龍は安打を打ちますが、他のメンバーの凡打やミスに苛立ちを隠せません。
2打席目はチャンスでダブルプレー。諦めかけた龍に翼は「諦めてほしくない」と大声でエールを送ります。その声援はやがて同好会全体のものになっていきます。
後日、同好会の練習に龍が現れます。トライアウトの結果は不合格。それでも、後悔はしていないという龍は同好会入りを決め、とうとう試合ができる9人が集まります。
以上です。
4話の感想と考察
トライアウトで3打数2安打、三盗・ファインプレーも決めて不合格になるチーム…。これもう誰も合格してないでしょ(笑)
見事なまでの両チーム・両者の違い
蔵本中央(龍のチーム)と藤浦(翼のチーム)の準決勝では、見事に2チームの違いが描写されていました。
最終的には翼のホームランで勝利をもぎ取っていますが、問題はその終わり方ではなく過程にあります。
チームを鼓舞するように声を出し続けた翼とチームメイト、一方でミスで自爆していく龍とチームメイト。
まさに「焦って、イライラした方が負ける」ということが表現されていましたし、「野球を楽しむのか楽しまないのか」というこの作品のテーマの部分で、2人がしっかりと対比されていたのが印象的です。
ただし、野球自体に対する思いが強いのは龍も同様です。
翼は「男子には違う目標がある」という思い(=明示されていませんが甲子園のことだと思われます)から、その後野球をやめてしまいます。
その時の彼女の心情は「ああ…これで私の野球”終わった”んだな」というものでした。
一方で、トライアウトの際に龍は「終わりは私が決める。ここは私の野球の”終わり”じゃない」という思いで最後の打席に立ちました。
トライアウト中に折れかけたことはあるけれど。龍は一度たりだって自分の野球が”終わる”なんて思ってはいません。
諦めずに真摯に向き合っている龍だからこそ、翼が一度は諦めてしまった”未来”を見据えているからこそ、翼は龍のことを大声で応援したのでしょう。
明らかに変化した東雲龍の表情
試合中だからということもあるかもしれませんが、最後に同好会に参加することを決めるまでの龍の表情は非常に硬いものでした。
よく言えば真剣ともとれる表情ですが、怖いという印象も強く、彼女がこれまでやってきた「野球」がそのまま表情に表れているような印象です。
一方、同好会メンバーに「不合格よ」と伝えたときの彼女の表情は驚くほどに柔らかいものでした。
翼の応援、皆の応援、チームメイトとの声かけで、はじめて龍の中の「野球」という存在が少しだけ変わってきたことの表れだと思います。
もしかすると、本当にもしかするとですが。実は龍はトライアウトには合格していて、そっちを蹴って同好会に入ることを決めたのかもしれません。
もちろん、これまでの龍の発言や行動と整合性が取れなくなるし、そうだったとしても見せるべきポイントではありません。
ただ、それぐらい龍の中での心情が変わったのかなと感じられる彼女の表情でした。
判定を見せなかった”狙い”とは
演出で心に残っているのが、トライアウトの試合の最後のシーンです。
男子生徒がスクイズをし、龍がホームにめがけてスライディングをします。その際のタッチのタイミングが微妙で、審判の声もないのでアウトかセーフかがわかりません。
この「あえて見えなくさせている判定」が、4話のテーマと非常にマッチしているように感じます。
それでは、なぜ最後に審判のアウト・セーフの判定が省略されていたのでしょうか。自分が考える演出の狙いは2つあります。
①判定という勝負特有のものを排除し、龍の中での野球という存在が変化したことを示したかった。
②この場面でアウト・セーフを視聴者に知らせてしまうと、龍の合否がその場で分かってしまうため、あえてぼやかした(=判定が龍の合否とリンクする)
①については既に述べた内容と近いです。龍にとって、これまでの野球はとにかく「勝負」でした。
勝ち負け、自分が活躍できるかどうか…目標がその先にある龍らしいものです。
その思いが少しだけ変わったことを表現するために、勝負では必要不可欠になる判定をあえて省略したのではないかな、と感じます。
判定を見せる・聞かせるのではなく、そこで晴れ渡った青空を映すことで彼女の心情がわかるような気がします。
差し込む光を見て、彼女は何を思ったのでしょうか。
②については、ED直前の「間」に繋げる狙いがあります。合否を最後まで不明にすることで、龍が「不合格よ」と伝えるまでの静かな時間をより際立てています。
あの時間でドキドキしたのは自分だけではないはずです。
1つ目の見出しで書いたように、龍は実は合格していたという可能性もあるかもしれません。
判定を見せない=龍の本当の合否に含みを持たせるという狙いもあったのかも?
翼の応援から見た「同好会野球部」の今後
翼の応援を発端に、他のメンバーも龍のことを応援し、最後には大きな声を出すタイプではない茜や和香も一緒になってエールを送るという構図がよかったですね!
「白ける」みたいに感じる方もいるかもですが、自分はこういうの大好きです。
次回はいきなり試合を迎えるようですが、試合中でも同じような流れが見られそうで楽しみです。
練習の様子を見る限り、最初はボロボロだと思いますが、翼が励ましてその輪が次々と広がっていく…という展開がたくさん見られそうでそうね。
逆に、翼がミスやチャンスで凡打に終わったりして、彼女が少し気落ちしている場面で別のメンバーが声を出す王道展開も用意されているでしょうか。
単なるプレイだけにとどまらない、「応援」や「時の運」のような要素も多く登場しそうな”前振り”のような感じがして、今後が非常に楽しみです!
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というわけで、八月のシンデレラナイン 第4話の感想・考察でした。
1話丸々使って龍の加入を描いてくれたこともあり、非常に見どころがあるお話に仕上がっていました。今後、さらに龍が”変わって”いくのか楽しみに見守りたいと思います。
次回第5話は「はじめての試合!」です。それでは、この辺で。
【追記:5話の感想・考察はこちらから!】