ハッピーシュガーライフ 10話 感想&考察!消えてしまった、最後の道。
第10話「星空のプロポーズ」
ー何で?どうして?私悪いことした!?(さとう)
あなた悪いことしたよ!1時間前の自分の行動思い出してよ!!しおの過去が明かされたキーになる回でした。
というわけでハッピーシュガーライフ(ハピシュガ)第10話「星空のプロポーズ」の感想と考察を書いていきます。10話までのネタバレがありますので、未視聴の方はご注意を!
(注意:管理人は原作未読です。ご了承を)
ハピシュガ10話のあらすじ・ネタバレ
しょうこを亡き者にしたさとうは疲弊し、寝てしまいます。そんな中、しおの過去が明かされます。あさひの記憶通り、ゆうなは夫の暴力に耐える日々でした。
しおと2人暮らしを始めてからは、しおに当たり散らすばかり。外に出たしおに怒ったと思えば、突然泣き出す。そんな毎日でした。
ゆうなが壊れないように、しおは一緒に外出することを提案します。しかし、しおはゆうなの手を放してしまい事故に遭いかけます。
自分の言いつけを守らなかったしおに、ゆうなはとうとう手を出します。そして、雨のとある日にゆうなはしおを捨てました。
眠っていたさとうが目覚めますが、しおに相談せず勝手に「城」を捨てると言い出した彼女にしおは反発します。大切なことを何も言ってくれないさとうに対し、しおは「嫌い」と告げてしまいます。
しおの言葉でさとうは”絶望”という感情を知ります。さとうが思い出したのはしおとの出会い。しおの言葉で、かつてのさとうは生きる希望を得ました。
部屋から出てきたしおの「2人で戦おう」という言葉を聞き、さとうはしおに自分の罪を告白します。彼女らの元にはバットを引きずるあさひが近づき…
以上です。
10話の感想と考察
2人の登場人物だけでここまで夢中になれるエピソードを産みだせるのか、という気持ちです。しょうこ退場により本当にやばい奴しか残ってないのがやばい(語彙力)
10話は「さとうとしおの絆が深まっただけ」の物語ではない!
10話はぱっと見るとしおとさとうが仲違いをして仲直りし、よりいっそう絆が深まった、そんな物語のように見えます。実際、その捉え方は間違いではないと思います。
でも、10話が作品に及ぼす影響は別のところにあります。それは、さとうとしおの”最後の逃げ道”が無くなってしまった、ということです。
今回明かされた重要な内容として、さとうの「1人ぼっちは嫌だよ」という心の声が挙げられます。つまり、(大方分かっていたことではありますが)さとうはしおのことを好きなのではなく、依存しているんですね。
それでも、さとうにはまだしおに依存する以外の道も残されていました。それは北埋川との付き合いでもいいですし、太陽との付き合いでもいい。しょうこと青春を謳歌する道もあったでしょう。彼女はそのことごとくを自分の手で潰してきました。
そして、今話。しおに「守りたい」と言われた彼女の感情は崩壊します。しおに明かしていなかった自分の罪を語ってしまい、しおと共に生きることを改めて誓います。
本来であればさとうのストッパーにならなければいけないしおも、自分の夢である「誰かを守ること」が叶ってしまった今では、もうさとうに協力するという道しか見えていません。
たとえ次回、あさひが迎えに来たとしてもしおがあさひについていくことは無いでしょう。
さとうもしおも絆を深めたが故に、2人で共に先の無い道へと歩み出してしまいました。彼女らは10話の中で「これから」を語っていましたが、「これから」は彼女らの単なる願いであり、叶うことのない望みでもあります。
さとうが引き返すにはしおの「もうやめようよ」という言葉が必要だったはずです。しかし、しおがその言葉をさとうに告げることはもう無いでしょう。彼女らは許されざる”共犯者”なのですから。
逃げ続けるか、死を選び永遠に共に2人でいることを選ぶか…。1話の記事で書いた自分の考察が現実味を帯びてきた感がありますね。
ゆうなの過ちと決意
しおの母であるゆうな。ゆうなについては賛否両論あるキャラクターだと思いますが、一概に責めることもできない存在です。
少なくともあさひ・しお・夫と暮らしている中でのゆうなは立派な母親でした。Aパートのゆうなが叫び続けているシーンは心に来るものがあります。
前半の「大丈夫、大丈夫、いつかあいつが死ぬ時まで…」はしおやあさひに見せていた”母親”としての姿です。後半の「嫌だ嫌だ嫌だ、ぶたれる、血が出る…」はゆうなの本心の叫びです。
助けてほしいけど、誰にもすがれない、そんな彼女の絶望を描いています。もしくは、このシーンは時間とともに壊れていくゆうなを描いたもの、という見方もできるかもしれないですね。最初は気丈に振る舞うものの、徐々に崩壊していく彼女の心情です。
それでも恐らく彼女にも信念はありました。暴力は振るわないという一点です。暴力に手を出してしまえば、「あいつ」と同じになってしまいます。
ゆうなの心=ひび割れたビンは、目の前で言いつけを守らないしおを見てしまうことで完全に割れてしまいます。心が完全に壊れ、ゆうなはとうとうしおをぶってしまいました。ゆうなが絶対にしないと誓ったはずの暴力。彼女は手を出してしまいます。
そんなわけで、「このまましおと一緒に居ると彼女を不幸にさせるだけだ…」と感じ、しおを手放したのかと自分は思っていましたが…一筋縄ではいかないようで。
最後のあさひの独白を聞くと、しおを捨てた理由は他にもありそうですね。ここは次回に期待です。ゆうなの生死も気になる。
しおとさとう・ゆうなのすれ違い
「何かをしたい」しおと「何もさせたくない」さとうとゆうな。彼女らがすれ違うのは考え方の違いから当然です。
しおにとって一番嫌いなものは「何もしなくていい」という言葉です。「何もしちゃだめ!」とゆうなに言われ、反発してみますが結果としてしおは捨てられてしまいました。
さとうの目線からすると、しおを危険な目に遭わせたくない一心で心を落ち着かせるために「何もしなくていいんだよ」と言いましたが、これが彼女にとってのトラウマスイッチになってしまいました。
しお「何でさとちゃんってそうなの?私ってさとちゃんの何なの?さとちゃんって私のこと何だと思ってるの!?」
しおのこのセリフは本当は母親であるゆうなに言いたかったもののはずで。ゆうなとさとうの姿がかぶって見えたしおは何もさせてもらえないことに反発し、自分のことを人形と評します。
上でも書いたようにさとうはしおに依存しています。言い換えると、確かに”モノ”として見ていた面もあるのでしょう。そうでなければちゃんとした反論をするはずだもんなぁ…。
もしかすると、さとうとゆうなのセリフがかぶったことで、しおは「また捨てられるかもしれない」という恐怖心を覚えたのかもしれないですね。
考え方が違う2人なので、すれ違い、関係にひびが入るのは当然のことでした。それでもしおにとっては母親に言いたかったことをさとうに言うことができ、すっきりしたような気分になっているのかもしれません。
しおが「守ってあげる」と言わなければさとうもゆうなのように壊れていた恐れがあります。どこまでも閉じた世界で、しおは1人の少女を救ったという見方も出来ますね。
しおがしてきたこと、しおがすること
しおが母親と別れてからしてきたことは何個かあります。例えば、さとうとの誓いの言葉。他にも「いいこいいこ」など。
徐々に明かされていますが、これらは全てしおがゆうなやあさひとしてきたことです。母親の顔を鮮明に思い出せないほど記憶に蓋をしてきたしおですが、家族とした行動はどこか心に残っていたと考えられます。
結局しおも経験則に基づき、「こうすれば相手は喜ぶはずだ」と考え行動しています。決してさとうや太陽”だけ”にしているわけではないのがミソですね。
…このことをさとうが知ったらまた反乱狂でしょう。「しおちゃんが私にしてくれたことは私がはじめてじゃなかったの…!」。言いそう。怖い。
他にもしおの行動として触れておきたいのは、血まみれの服が入った洗濯機をこっそりと閉めたことです。しおは何が起きているのか理解したはずなのに、見て見ぬふりをしました。
ゆうなの顔がぐちゃぐちゃになっている回想があるように、しおの本質は都合の悪いものには目を背けることであると読み取れます。
しかし、しおはBパートのラストで自らベランダに出ています。不都合なものが多い外の世界に、母親の幻想を見ることなく(最後に登場しましたが)出られたしおは、ほんの少しだけ成長したような気がします。
アニメ「ハッピーシュガーライフ」10話感想まとめと11話に向けて
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というわけでハピシュガ10話の感想記事でした。実は今回の感想がこれまでの中で一番筆が進まなかった回でした…。面白くないというわけではなく、自分の考察をうまく文章に起こすのが難しい、そんなお話でした。
残すところあと2話です。次回はあさひvsさとうの戦いが見られるかも…?そんな11話のタイトルは「永遠の一瞬を、貴方と」です。
最終回みたいなタイトルです。それでは、この辺で。
【追記:11話の感想記事を書きました!】