ハッピーシュガーライフ 12話(最終回)感想&考察&評価!2人だけの、最高の世界を求めて。
第12話「ハッピーシュガーライフ」
ーずーっと一緒だよ、さとちゃん…。これが私のハッピーシュガーライフ。(しお)
物語が終わり、すべてがはじまりました。この結末をハッピーエンドと捉えるかどうかは人それぞれ。重厚な作品でした。
というわけでハッピーシュガーライフ(ハピシュガ)12話(最終話)「ハッピーシュガーライフ」の感想と考察を書いていきます。作品全体を通してのネタバレがありますので、未視聴の方はご注意を!
(注意:管理人は原作未読です。ご了承を)
ハピシュガ 12話(最終話・最終回)のあらすじ・ネタバレ
しょうこを自身の身代わりに据え、叔母から大量の現金を貰い、さとうとしおは「城」を出発します。しかし、指輪の忘れ物に気が付き1208号室へ引き返します。
一方、太陽は叔母に弄ばれます。再び汚い存在となった太陽はあさひに助けを求め、あさひもさとうたちのマンションの場所を突き止めます。
指輪を見つけ、マンションから出ようとするさとうとしおはバットを持ったあさひと鉢合わせます。さとうはマンションに引き返しますが、叔母が火をつけた後で…。
叔母の部屋にいったん逃げますが、3階で待ち受けていたのは叔母に骨抜きにされた太陽でした。あさひは1208号室で死んでいるしょうこを目撃してしまいます。
逃げ場を失ったさとうは屋上に向かいます。あさひも屋上にやって来ました。
あさひはしおに母親が父親を殺害したこと、しおに危害を加える存在になることを恐れてしおの元を去ったことを伝えます。それでも、しおはこう言いました。
しお「私がさとちゃんを選んだの!私にはさとちゃんが必要なの!」
さとうは足を怪我し、出口まで戻れません。さとうとしおは互いに感謝を告げた後、しおの「一緒に死のう、さとちゃん」のセリフを合図に飛び降ります。さとうの「走馬燈」で映し出された物は過去の自分ではなく、しおと迎えられたはずの未来でした。
事件は終わり、北埋川と叔母は逮捕され、太陽は完全に病んでしまいます。しおはさとうがかばったことにより、一命をとりとめます。
しおには何も見えていません。”生まれ変わった”しおは自身の中にだけ幸せを求めます。さとうが自分を生かした意味をずーっと考えることを誓ってーー。
以上です。
12話の感想と考察
何度も見返すのが辛くなるような最終回でした。自分としては狂気エンドは大好きなのでもっと過激でもよかった気がしなくもないですが()
しおにさとうの魂は乗り移ったのか?
はじめに非常に気になるラストだった病室のシーンの考察から。
さとうはしおをかばって命を落とし、しおが自分の中にだけある愛(さとう)を求めて今後生活していくことが示される後味の悪い締め方になっています。
ただ、しおの姿がさとうに置き換わったり、とさとうの魂がしおに乗り移っているように見える描写がいくつかありました。個人的に鳥肌がたったのはこのセリフです。
しお「私、そういうのもうやめたの」
…この発言、どこかで聞いたことありますよね?1話でさとうがしょうこに男遊びをやめたと告げたときの発言と酷似しています。
更に、こう語るしおの顔は赤らんでいて。しおに話しかけられ、顔が赤らむさとうの姿を思い出させる表情です。
その他にも「うふっ」という笑い方はまさにさとうのそれです。これまでしおが「うふっ」と笑ったシーンなんてなかったはずです。
こう考えるとしおの中でさとうが生き続けているという解釈もできそうです。最も、しおが単に病んでしまいさとうの真似をして発言しているだけ、という見方もできます。
ただ、さとう魂乗り移りエンドと考えると問題点もあります。2人を殺したさとうが幸せなエンディングを迎えられているのです。だって、しおの命が尽きるその瞬間まで2人で一緒にいることができるのですから。
あさひも、叔母も、北埋川も罰を受けたのにさとうだけハッピーシュガーライフを迎えるなんておかしい!という人もいるに違いありません。
だからこそ、さとうの魂がしおの中でも生き続けていると考えられる人はこの作品を「ハッピーエンド」と捉え、しおが完全に病んでしまいさとうの真似をしているだけと考えた人は「アンハッピーエンド」と捉えるような気がします。
人によって解釈は分かれると思いますが…。自分個人としてはしおが完全に病んでしまい、さとうの魂も飛散した「誰も救われなかったエンド」に一票を投じようと思います。
残された布切れや指輪をいつしか「さとう本人」と思いこみ奇行に走るしおの姿が浮かんでくるような…。
しお視点で今後が描かれるスピンオフとかあったら面白そうですね()
OPとEDで示されていた「結末」
結果的に1話の考察で書いた「ゴールに向かう物語」だったのがハピシュガというアニメです。片残りエンドもズバリでしたが、しおの方が生き残るとは…。
最終回まで見た後にOPとEDをじっくり鑑賞すると、最終回への伏線がびっしり張り巡らされていました。その内のいくつかを紹介してみます。
①OP演出:ビンの中で浮かぶ2人の少女
叔母とのやり取りの中でも何度か登場しているビン。ビンの中でさとうとしおと思われる人物が空中浮遊しています。
これはまさにラストシーンを描いたものになっています。よく見ると、2人の位置関係はビンが揺れているにも関わらず、常にさとうがしおを包みこむように描かれています。
一緒に死ぬのではなく、最後にしおを守って命を落としたさとうの姿が実はOPからずっと描写されていたのですね。
②ED歌詞:「やがて終わるのなら わたしの命をあげよう」
EDでずっと引っかかっていたこの部分の歌詞。最終回まで見てEDの1番の歌詞はさとうを主人公にした1つの物語であると気づかされました。
自分の命をあげてでも守りたい何かがある、ラストとぴったりの歌詞です。「命をあげる」というフレーズから考えると、1つ上の見出しで書いた魂乗り移りエンドが妥当なのかな、とも思えてきますね。
実はEDである”SWEET HURT"は2番の歌詞も衝撃的で…。「白い四角いこの病室は 崩れることのない角砂糖」という部分も最終回のエンディングと重なる部分があります。
EDの1番はさとうを、2番はしおを描いた作品最大のネタバレと言えそうです。ReoNaさん名義の初シングル、SWEET HURTはこちらからどうぞ!
③ED演出:しおが転び、さとうが消える描写
EDの2人は、仲良さそうに歩きますが、最後の部分でしおが転びさとうの姿は粉となり空中に飛散します。このEDはさとうの人生を表したものだということは薄々感づいていましたが、ラストまでその通りになるとは…。
ただ、EDではその後さとうがしおの元に戻ってきているんですよね。笑顔でしおのことを抱きしめながら。
このさとうはしおの幻想なのか、はたまたさとうの魂なのか。この部分も見る人により感じ方が大きく異なりそうです。
救いがなかった太陽と、罰を受けたあさひ
11話で期待した「叔母によって太陽が蘇生されるエンド」は叶わぬものとなってしまいました。むしろ、ますます女性恐怖症を悪化させてしまうという…。
改めて思うと太陽は悲惨すぎて…。さとうに告白するも断れれ、店長に襲われ、しょうこに変態扱いされ(実際変態ですが)、しおに再度出会ったと思いきや逃げられ…。
「子供体温」とか「ミルクの匂い」とか言っているからそうなるんだぞ、太陽くん!
一方であさひはしっかりと罰を受けることになりました。今回は太陽だけでなく、さとうにも暴力をふるってしまいます。
暴力を振るう父を毛嫌いしていたあさひが同様に暴力に頼ってしまったことで、彼にも悲惨な罰が用意されていました。
・妹が自分ではなくさとうを選ぶ
・しょうこの死体を目撃してしまう
・一命をとりとめた妹はもう自分を見ることはない
ただ、一概にあさひだけを責めることは難しいのも事実です。11話考察記事でも書いた通り、あさひはDV父親の元で育った経緯があり、暴力で人を従わせる方法しか知らなかったのも事実です。それでも、人を殴るのは…ね。
作中で一番のバッドエンドを迎えたのはあさひなのかもしれません。今後「ハッピーシュガーライフ」から抜け出せないしおとずっと関わっていくことになるのですから。
神戸しおも「あの瞬間」に人生が決まった
さとうがこういった結末を迎えることになった大きな要因はやはりしょうこの「目逸らし」です。
12話の指輪を取りに帰るくだりはただの枝葉に過ぎず、しょうこがあの場面で目を逸らさずさとうと向き合っていれば結末は変わったと思わざろうをえません。
では、しおの結末が決定してしまったのはいつでしょうか。それはやはりゆうながしおに手をあげてしまった瞬間です。
しょうこの目逸らし同様、しおは母親に暴力を振るわれ捨てられたあの一瞬で「家族は大切ではないもの」という考え方を固めてしまいました。そりゃあ、その後に自分に接してくれたさとうが家族よりも上位の存在になることは必然です。
さとうもしおも、相手の一瞬の言動・行動で相手の”枠組み”を決めてしまったのですね。やっぱり2人は似た者同士、なのでしょうか。
無数にあるifの世界と子供たちの選択
作品全体の考察にも関わることですが、とにかく「もしかしたら」を考えさせられるシーンが多々あるなと今になって思います。
もしも、ゆうながしおを捨てなければ?
もしも、1208号室の男がしおの首を締めなければ?
もしも、あさひとしょうこが幸せに2人で生きる選択をしていれば?
…いくらでも思いつきますが、全てのキャラクターが最悪の選択をしていった結果がこのラストです。
とりわけ、責められるべき行動を最初に取ったのはいつも大人たちでした。大人がまいた火の粉を吹き消そうと、さとうもしおもあがき続けた結末が、12話です。
だから、さとうもしおも「家族」を捨てて2人だけの逃避行に出た、という捉え方もできます。
大人たちに縛られない、2人だけの世界を造ろうーと。
うん、この捉え方こそがハピシュガというアニメの真理なのかもしれません。
こう書くと批判もあるかもしれませんが、世の中には家族が絶対的存在ではない人もいます。作中の人物はおおむねその傾向があります。
「私、家族なんてどうでもいいの!」
しおのこのセリフは今までのアニメでありそうでなかった発言です。家族が一番だと誰が決めつけたの?というしおの言葉が聞こえてきそうです。
安直なハッピーエンドにしなかったことで、よりしおの発言が際立っているように感じます。
ハピシュガ全体の感想と評価
感想・考察を書き進め、あっという間に4000字オーバー(;゚Д゚)
割と書きたいように書いていったので、後で大幅なリライトを試みるかもしれません。それぐらい心に残る作品でした。
この作品の見どころはただ狂気を描いただけではない、ということですね。上でも書いたOP、EDの演出、11話考察で書いた9話で叔母が出てきた意味等々。
細かな部分にも気を遣っているからこそ完成する作品です。
どんな人にお勧めできる作品か…と言われると難しいですが(笑)、ギャルゲーや小説のバッドエンドが好きな方にはぜひおすすめしたい作品です。ええ、バッドまで常に堪能する自分にはドストレートな作品でした。
あとは花江夏樹さんファンの方にもぜひ。終盤のはっちゃけ具合がもう少し欲しかった…かな?()
1話で示されたゴールに向かう経過を丁寧に描いていった作品でした。
最後にスタッフの皆さま、声優さん、原作者の鍵空とみやきさん。素晴らしい作品をどうもありがとうございました!!
アニメ「ハッピーシュガーライフ」12話感想まとめとご挨拶
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というわけで、ハッピーシュガーライフ最終回の感想記事でした。3か月あっという間でしたね…。もう終わってしまうのかという喪失感も大きいです。
前クールの「LOST SONG」同様、非常に多くの方に訪問して頂いた作品になりました。当ブログを閲覧して頂いた方、コメントを頂いた方にもこの場をお借りし、お礼申し上げます。ありがとうございました!!
また今期は「すのはら荘」「はるかな」「天狼」も記事を書いています。よろしければ以下から覗いていってください!
アニメ感想(2018夏) カテゴリーの記事一覧 - アニメのおすすめなどを語るブログ
来期は5作品の記事更新を予定しています(できるのか?)。オリアニ中心でたっぷり考察もしていきますので、来期もぜひとも!よろしくお願いいたします。
それでは、3か月間ありがとうございました。また別の作品でお会いしましょう。