ケムリクサ 12話(最終回)感想&考察&評価!見事な伏線回収とりん・わかばの”未来”
第12話
ーわかば…好きだ。(りん)
ケムリクサは、壮大なるラブストーリーだったということでしょうか。最後にいなくなった姉妹たちが救いに来たのも、「王道展開」でもう最高!
というわけで、ケムリクサ 12話(最終回)の感想と考察になります。作品全体を通したネタバレがあるので、未視聴の方はご注意を!
ケムリクサ 12話のあらすじ・ネタバレ
りんが記憶の葉を覗いている間に、わかばは赤い木に攻撃されていました。みどりの葉によって一命は取り留めていましたが、りんの攻撃が効きません。
わかばは、木自体もケムリクサであることに気づき、操作でりんを解放しますが赤い木自体にはアクセスできません。潰されたわかばは、持っているケムリクサでりんを守ります。
橙の文章を消していたのはりりでした。ワカバがいないことに絶望したりりは、自ら記憶の葉をロックし、文章も書き換えていました。
りんの元に、りつの耳とりなのボールが訪れます。りんにみどりの枝を与え、”したいこと”をしてほしいと告げます。2人はシロと共に、アカムシと戦っていました。
りんは再び立ち上がりますが、赤い木の反撃に遭い、腕を失います。大ピンチのりんに、記憶の葉に眠っていたりょうたちが登場します。彼女らは木を攻撃します。
弱らせた木にりんがとどめをさします。わかばもみどりの縄のお陰で、無傷でした。3人は「好き」を見つけられたりんに安堵し、わかばとりんの元を去っていきました。
りつとりなもアカムシを全て撃墜していました。残された2人の元へあいいろが泳いでいきます。あおいろが行く先には、船の外、水と自然がいっぱいの世界でした。
りんは告げました。「わかば、好きだ」とーー。
以上です。
12話(最終回)の感想と考察
伏線も見事に回収され、大満足な最終回でした。明かされていない部分について深く考察するのも野暮かと思いますので、分かる範囲で考察していきます。
みんなで勝ち取った勝利
最後のシーンを除けば、赤い木とのラストバトルが一番の見どころです。腕と足を失い、立てなくなったりんの元に現れたのはりょう・りょく・りくでした。
りんがわかばと2人で放ったパンチでは、赤い木には全く効果がありませんでした。
りつとりながくれた枝を使って、多少は状況が好転しますが、結局赤い木に返り討ちにあいます。もうだめだと思った時、6姉妹が揃い一気に勝利へと向かっていきます。
りくが球状の厄介な武器を削ぎ落し、りょくが腕を落とし、りょうが一気にダメージを与えます。そして、とどめはりんの一発です。
りなとりつがくれた枝を使って、りんが最後の一撃を与える演出が最高すぎてもう…!
りょくが言った「りんが倒すところ…見てたよ」という発言は「お前の弱点を知っているぞ!」という意図の発言でしょう。弱点である付け根を狙った攻撃はお見事でした。
りょうの目が一瞬開いた瞬間も最高でしたね。細目キャラあるある、目が開かれたときに本気を出すの図です。
もちろん、りつとりながアカムシを足止めしていたのも勝利の要因の1つです。6姉妹の誰が欠けたとしても手に出来なかったのが今回の勝利でした。
バトル以外にもぐっと来た場面が、りょうがりんを励まし、褒めた場面です。
りょうの長女っぷりが垣間見れたのも良かったですが、個人的にはりんの表情の演出が好きです。ちなみに、1話でりんは「姉さんに褒めてもらう」とりなこに語っています。やっと褒めてもらえたんですね、りんは。
「それぐらい大変だったんだわな~頑張ったね」と言われ、りんは声を震わせます。
でも、泣き顔を明確には映しません。その後も、わかばに抱き付いたりしていますが、泣いている表情は、意図的に画面に映らないようになっています。
そして、Cパート。船の外の風景を見た時に、はじめてりんの泣き顔がしっかりと映されます。りんが1人の女の子であることを実感できる場面です。
これはりんがどれだけわかばのことを信用しているかを表してもいますし、ようやく戦いから解放されたりんの安堵感をも表しています。
姉妹たちのその後と、りりとワカバの「隠し演出」
6姉妹のその後について整理してみます。
まずは、りょう・りょく・りくについて。彼女らは姿を消す直前に、「何だぁここ?」「でっかい葉じゃん!」と言っている場面がありました。
色々な見方ができると思いますが、個人的には空に昇り、上から「葉で出来た世界」を見下ろしているという解釈が一番スムーズだと感じます。
天国へいったのか、もしくは再び肉体は記憶の葉に戻されたのかは分かりませんが、既に亡くなっている彼女らが、再び死後の世界に戻る(元いた場所に還る)というのは決してバッドエンドではないと思います。
一方、りつとりな。彼女らは「数日持つ」と言っていたことから、この後わかば・りんと再会できる可能性は高いでしょう。大量の水も発見できましたしね。
結局、生きているのはりん・りつ・りな・わかばで決定していいのではないかな、と。
それは最終回のEDにも表れています。11話ではりんだけになった場面ですが、今回はしっかりと4人の姿が映っています。
…左にいるのってもしかして。うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
うっすらとワカバとりりの切り絵が映っています。
今回の物語はあくまでも、りんとわかばにとってのハッピーエンドだったわけで、りりにとっては余りにも悲惨な最期を迎える形となっています。
りりの想いがりんに受け継がれていたことは、11話でも書きましたが、それでもわかばとワカバは同一人物でない以上、りりとしての思いは成就しないまま、失意の中で消えてしまっています。
と、これだけを見ると哀しき結末を迎えたようですが、最後のEDの描写で救われたような気がします。
というよりは、りり自体に救いが無いから、あえて彼女らが救われる描写を取り入れたといった感じです。まさに優しい世界です。
どこかでりりとワカバは楽しく過ごしているはずだと願わずにはいられません。
驚きの伏線回収と「船」の話
説明臭くならずに、これまでの主要な伏線を回収していったのは「すごい」の一言です。その中のいくつかを見ていきましょう。
①わかばの名前
ここまであえてりんにわかばの名前を呼ばせなかったのは、最終回の演出のためだったんですね…!りんがわかばの名前を呼んだシーンは2回ありました。
1回目は、とっさに出たセリフでした。りん自身も動けなくなり、叫ぶことしかできない状況で、はじめて彼女はわかばの名前を呼びました。
きっと、この時点でもうりんは「好き」を実感していたわけで。「毒」でも「顔が熱い」でもなく、わかばのことを「好き」と既に感じていると思われます。
2回目は逆に、十分に溜めた上での呼びかけです。
「わかば…」という台詞が出た瞬間に、次に「好きだ」という台詞が来るだろうと分かる確定演出。「好き」を言葉にしたりんのデレデレモードが見たい。
②りつとりなの語尾の話
割と衝撃的だったのは、りつとりなの「にゃ」「な」は、示し合わせて使っていた語尾だったということです。
理由について、最初に考えたのは「6姉妹それぞれのキャラ付け」として使っていたのかと思いましたが、見た目からして6人には違いがあります。
もっと突き詰めて考えると、耳がいいりつ以外には、全員同じような声に聞こえて、区別がつかないからーという見方が一番正解に近いのではないでしょうか。
りょく以外は文字が読めないように、りく以外は「感触」が分からないように、りつ以外は細かな音の聞き分けができない。
だから、それぞれを音だけでも見分けられるように、特徴のある語尾にした、と。
…考えすぎでしょうか。
③最後まで持っていたみどり
1話でわかばはぐるぐる巻きに縛られていました。その縄(みどり)は(おそらく)1度ならず、2度わかばを救っています。
1回目は、10話でわかばが落下しそうになったときに、りんがわかばを助けたシーン。わかばを掴む際に、この縄を掴んでいたのでは?と今になってみると思います。
2回目は、12話です。刑事ドラマの如く縛っていたみどりが最後の役目を果たし、わかばを救いました。
作中で結局明言はされませんでしたが、恐らくわかば≠ワカバであり、ワカバは自らにみどりを宿らせ、りりを救おうとしたという解釈が一番すんなりいきます。
そうであれば、みどりという存在はワカバそのものであるわけで。
つまり、ワカバがわかばを救ったという見方ができるんですね。ワカバがりりを幸せに出来なかった分、わかばがりんを幸せにしてあげてほしい…という声が聞こえてくるようです。
ちなみに、「船」の話。結局りんたちが旅をしていたのは「船」の世界だったということが最後に明かされました。万が一、赤い木が「船」の外に出てしまえば、大量の水を吸い上げて一気に世界は終わってしまいます。
最後の”楽園”への入り口ですが、穴が空いていました。
恐らく、赤い木がいるうちはこの穴は空いてなかったものだと思われます(空いていれば前述のように、木はもっと成長していたでしょう)。
この穴はラスボスを倒した「ご褒美」とも取れるし、りょうたちの戦闘の中で空いたものとも取れるし、りょくたちが見つけた「大きな葉」を操作することで空いたものとも取れます。
ここは視聴者の想像にお任せしますといったところですね。
感想:これは究極のラブストーリー!
冒頭でもちらっと書いたように、難しいことをいろいろやっているように見えて、わかばとりん、ワカバとりりの恋物語と姉妹愛というシンプルなテーマに行きつきます。
時空を超えた愛。ワカバとわかばは違うし、りりとりんだって違うけれど。悲劇的な恋の終わりと、明るい未来が待っている恋の始まりの対比がお見事でした。
りんたちが見た風景に、水だけでなく豊かな自然や太陽の光が注いでいたのは、これからの彼女らの未来も、きっと明るいということの表れのように感じます。
溜めて溜めて、やっと見つけたりんの「好き」と「キラキラエフェクト」。
姉妹たちの冒険であったのはもちろん、ケムリクサはりんが「好き」にたどり着くまでの過程を描いたアニメでした。
全体を通した感想と評価・レビュー
とても面白く、素敵な作品でした。
是非最後まで見た上で、1話から見直したい作品です。万が一、これから見ます!という方がいれば、1話ごとに色々考察しながら見るのがおすすめです。
それにしても、完全なる大外れは無かったものの、自分の考察は上手くかわされてしまいました。凡人にはたどり着かない世界観を味わえるのも、「ケムリクサ」の魅力の1つだと思います。
以前も書きましたが、世界観はかなり不思議なものです。一方で、やっていること・見せてくれているものはどこまでもまっすぐで、王道展開でした。
外さない場所は外さない、というのがまたこの作品の魅力を高めていると思います。
最終話も良かったですが、個人的には11話が最高でした。
たった2人のキャストであそこまで濃い物語を見せられるのか…とただただ驚きでした。11話の伏線・疑問を分かりやすく12話で見せてくれたことも高評価です。
まだ見ていない方には、ぜひおすすめしたい作品の1つになりました!
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ということで、ケムリクサ最終話の感想・考察でした。
本当に見てこられて、記事を書いてこられてよかった作品だったと思います。
たつき監督はじめ、スタッフの皆さま、関係者の皆様、素敵な作品をありがとうございました!
また、コメント欄やTwitterでのリプをくださった方々、本当にありがとうございました!コメントからヒントを貰うことも多く、非常に楽しい3か月間を過ごすことができました。
当ブログの1話からの記事の振り返り、ならびに今クールの他作品(「エガオノダイカ」「コトブキ飛行隊」「特殊戦あすか」)はこちらからどうぞ。
また、来クールのおすすめアニメが知りたい方は、こちらの記事を要チェックです!
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