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この音とまれ!5話 感想&考察!回想の演出の妙と龍の幻想が示すもの

第5話「響き届け 僕らの音」

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ー大事な仲間と居場所を失いたくないので。僕たちは最後まで、真剣に弾ききります!(武蔵

 

今期の初泣き、ありがとうございます。こーいうのを「神回」って言うんだよな…!この上ないエピソード、体感5分、視聴後呆然としてしまいました。

というわけで、この音とまれ!第5話「響き届け 僕らの音」の感想と考察になります。5話までのネタバレがあるので、未視聴の方はご注意を!

(注意:管理人は原作未読です。ご了承を)

この音とまれ 5話のあらすじ・ネタバレ

さとわは愛に押し付けられた過去の罪を知ります。愛が箏に向き合う理由を知ったさとわは、愛に謝罪し、愛が出す音の裏にあるものに気が付きます。

喧嘩もありつつ、練習の段階で最後まで弾き切ることに成功します。仁科のばあちゃんは、「何のために弾くのか、誰に届けたいのか」を意識することをアドバイスします。

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迎えた全校朝会。さとわの鼓舞?と教頭の発言で、一同は落ち着きを取り戻します。アウェイ感一杯の会場で、武蔵は「おかしければ笑ってくれて構わない」と告げます。

半笑いの会場を箏の音が駆け抜けます。生徒たちは箏の音に驚きます。演奏中、愛は哲生と祖父だけは自分を見捨てなかった自らの過去を回想します。

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演奏は光太のミスで”ズレ”が生じます。泣いて自分を孤独から救った哲生。初めて人のために喧嘩した過去。その際に彼が救ったのが光太たちでした。

さとわのリード音で、演奏のリズムが戻ります。迎えた愛のソロ。愛は右手で”誰か”に届けるために優しい音を奏でます。子守歌のような愛のソロから迫力のある大演奏。もう筝曲部を笑う者はいなく、その音はきっと”誰か”にとどいたのでしたー。

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以上です。

5話の感想と考察

「あらすじ」を書くために見直してもうるうるしてしまいました…。哲生の泣き顔がもう反則ですよね。そして、愛のやり切った顔でやられます。

「孤独な龍」と「6人」の先導役

初演奏でさとわの音色が客観的に語られました。ブログでは最初の方から述べていたように、やはりさとわの音はどこか寂しい音のようです。

作中では「仲間のいない、孤独な龍の鳴き声」と称されていました。もちろん、もの凄い音色であることに変わりはありませんが、愛の音とは対照的な位置にあります。

 

さとわのソロ、愛のソロ、最後の盛り上がりと箏の音色を堪能できた5話でした。ここまで筝曲部の演奏を、視聴者サイドにほぼ聞かせてこなかった演出が「うまいなぁ」と感じます。

言うなれば、視聴者としても「筝曲部の」龍星群を耳にするのは初めてのことです。

全校生徒のように冷ややかな目で見ていた人はいないでしょうが、どんな演奏になるのかな?という期待感と不安感が入り混じった気持ちで視聴することができます。

 

閑話休題。

さとわの音は確かに「孤独」と感じられるものですが、彼女の心もちは既に変化を見せています。合奏は互いを助け合えるものだと思う、と武蔵に伝えています。

自身の言動を証明するかのように、さとわは自らの音を合図にして、光太のミス、全員のミスをカバーし、音のずれを修正していきます。

 

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ラストスパートでは、6人全員が緑の龍の煙をまとって演奏するような演出が施されました。ここはさとわの「孤独な龍」というフレーズとの対比になっています。

さとわも、愛も、武蔵ももう1人じゃありません。同じ思いを抱えた筝曲部。その思いが”同じ龍の幻想”となり、人々に音を届けます

だからこそ、彼らの演奏は全校生徒の心に響いたのではないでしょうか。

連発する回想と龍星群の関係性~この上ない究極のバランス

5話最大の見どころは演奏中に挟まれた愛の回想シーン。本当にベストなタイミングで回想が用いられています。

自分が考える愛の回想が5話に与えた好影響は大きく分けて、以下の3点です。

 

①龍星群という曲と回想との親和性

龍星群という曲(箏が龍と呼ばれている理由)について、4話でさとわは「結ばれない2つのものを繋ぐ存在」と語っています。

だからこそ、龍星群の演奏中に回想が流れるのは普通のことで。回想(=故人になったじちゃん)と現在(=今生きて演奏している愛)を結び付けている曲なのだから。

もっと言えば、愛の今の真剣な思いと過去のやさぐれていた時を繋ごうとしていたようにも感じます。

あの頃の自分が無ければ、哲生にもトリオにも出会えず、今の自分は無かったーという愛の想いを、龍星群が間に入って伝えているように感じました。

 

②雑念が消えて、フィニッシュする盛り上げ

回想が入るのは、愛のソロのシーンまで。6人で向かう最後のシーンでは、誰の回想も挟まれることなく、演奏者・観客・箏の音が映し出されるだけです。

最後のシーンまでは、愛も箏のことだけを考えていたわけではないからこそ、回想が混じっていたという見方ができます。

その「雑念」が消え去ったから、皆に龍が宿ったような演出が施され、想いが全校生徒に届いたのではないでしょうか。

全ての雑念が消えた場面。それは間違いなく、回想に光が射しこみ、光が飲み込んで現実へと引き戻したこの瞬間です。曲調と合わせて最高の演出です!

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③最高の演奏をあえてかき消す狙い

「音」だけを聞かせてくれた最後の合奏部分は、度胆を抜かれるすばらしさでした。

少し視点が変わった見方ですが、初めから完璧な演奏を視聴者に聞かせまいと回想を「雑音」として入れた…とも取れます。

筝曲部はまだまだ発展途上。これからうまくなってくること請け合いです。その状態なのに最初から完璧な音だけが聞ける…というのは少し不自然ではあります。

だからこそ、前半部分は回想交じりにすることで演奏だけをあえて聞かせない。本当に最高の演奏は、この後じっくり聞かせてやるからーというスタッフの思いもあったのではないでしょうか。

3人と愛との出会いの秘密

回想の中で最もぐっと来たのが、愛と実康・光太・通孝との出会い。哲生の友人だから、と愛は高校生に連れられる3人を救います。

で、この愛の喧嘩は初めて「誰かのために、誰かを守るために」起こしたものでした。”孤独だから”喧嘩をする愛が初めて違った意味で拳を振るった瞬間です。

 

このときのじいちゃんの嬉しさは想像に難くありません。彼が一生懸命作ったキャラクターおにぎりに愛も笑顔を浮かべ、それを払うことなく食べます。

1人で歩いていたはずの愛の元には、いつしか人が集まるようになって。じいちゃんも哲生もどちらかが欠けていれば、今の久遠愛はなかったように感じる1シーンです。

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哲生の友人を守るために振るった拳が、巡り巡って今の筝曲部に繋がっていきます。これも過去と今を「繋ぐ」要素の1つですね。

武蔵とさとわの気持ちの変化

武蔵とさとわに関しても、変化が見られたエピソードでした。

やっぱり1人で思い悩んでしまう武蔵。全校生徒の演奏の前も、軽音部のヤジに遭い、用意した原稿を読めずに立ちすくんでしまいます。

そんな武蔵を救ったのは、やっぱり愛の行動と皆の過去の言動でした。武蔵はカンペをくしゃっと潰し、自分の言葉で全校生徒に「宣言」します。

多分”優等生”である武蔵は普段はそんなことをしないはずで。そんな彼がカンペを見ることなく「笑ってくれて構わない」と宣言したのは、彼の中で少しだけ”何か”が変わったことを感じられる演出になっています。

 

さとわの心情の変化は既に述べた通りですが、Aパートの愛とのやり取りは素晴らしいものでしたね…!

素直にはなれないけれど、さとわは確かに「ごめん」と愛に伝えています。さとわから見る愛の姿が少しだけ変わった…これはもう恋ですね。

少しづつ愛の影響を受けて2人が変わっていく姿が、素敵でなりません。

アニメ「この音とまれ!」5話感想まとめと6話に向けて

この音とまれ! 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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というわけで、この音とまれ!第5話の感想記事でした。

ここまで素晴らしいアニメを分割2クールで見られることに感謝しかありません。次回は更にキャラも増えてくるようで、期待は増すばかりです。

そんな第6話は「見えない境界線」です。それでは、この辺で。

 

【追記:6話の感想・考察はこちらから!】

www.anime-kousatsu.com