アニメのおすすめなどを語るブログ

主にオリジナルアニメの感想と考察を管理人が書いて楽しんでいるブログ。皆様のコメントをどしどしお待ちしています!

【ネタバレ】映画「未来のミライ」の感想&考察&評価!ミライちゃんが来た理由と作品のテーマは?

みなさん、こんにちは。

7月20日から全国で公開された「未来のミライ」。今夏イチの注目作品ということで、さっそく映画館で見てきました!

途中からネタバレ全開の考察が入っていますので、未視聴の方はご注意ください!

賛否あるようですが、見て決して損はしない作品になっています。

未来のミライ (角川文庫)

「未来のミライ」キャラ紹介・基本情報

まずはキャラクター紹介を中心とした作品の基本情報から。以下、使用画像は未来とミライ公式HP(http://mirai-no-mirai.jp/character/index.html)からの引用です。

監督は細田守さんです。有名な作品としては、「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」など。スマッシュヒット作品を多数生み出している監督さんです。

公式HPに掲載されているコンセプトとしては、「家族」と「命」の物語。ここだけを見ると泣かせる展開が多数用意されていそうですが…?

 

では、キャラクター紹介です。

くんちゃん

f:id:rakutenpocket2:20180720190358p:plain

主人公です。これまでは親の愛を注がれて生活していましたが、妹が誕生したことで両親が妹を構うことになることに不満げな様子。

ちなみにこやつ、かなりの変態です。将来性あるね、キミ

 

ミライちゃん

f:id:rakutenpocket2:20180720190537p:plain

庭に突然現れた少女。くんちゃんのことを「お兄ちゃん」と呼びます。結婚時期を気にする年頃の乙女です。

 

おとうさん

f:id:rakutenpocket2:20180720190740p:plain

くんちゃんの父親です。職業はフリーの建築家。くんちゃんが誕生した当時は、家事をすべておかあさんに押し付けていました。

 

おかあさん

f:id:rakutenpocket2:20180720190927p:plain

くんちゃんの母親です。子育てに加え、職場にも復帰するスーパーウーマン。しっかり者に見えますが実は…?

 

ネタバレなしで紹介できるキャラはここまで。ちなみに、一番好きなキャラは福山雅治さんが声を当てている”青年”です。めちゃめちゃかっこいい。。

「未来のミライ」のあらすじ

公式HP(http://mirai-no-mirai.jp/story/index.html)の引用になります。

とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。

ある日、甘えん坊の“くんちゃん”に、生まれたばかりの妹がやってきます。
両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うばかり。
そんな時、“くんちゃん”はその庭で自分のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ、
不思議な少女“ミライちゃん”と出会います。

“ミライちゃん”に導かれ、時をこえた家族の物語へと旅立つ“くんちゃん”。
それは、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした。

待ち受ける見たこともない世界。
むかし王子だったと名乗る謎の男。
幼い頃の母との不思議な体験。
父の面影を宿す青年との出会い。

そして、初めて知る「家族の愛」の形。

さまざまな冒険を経て、ささやかな成長を遂げていく“くんちゃん”。
果たして、“くんちゃん”が最後にたどり着いた場所とは? 
“ミライちゃん”がやってきた本当の理由とは―

それは過去から未来へつながる、家族と命の物語。

ちなみに、「ミライちゃんがやってきた本当の理由」は作中では明かされません(笑)

以下の見出しから自分なりの”理由”を考察しているのでお楽しみに。

「未来とミライ」の感想(以下、作品のネタバレ有り)

以下、ネタバレ全開で書きます。ご注意を!

 

 

 

 

 

 

 

 

物語は短編集の繰り返し!?

あらかじめ判明していたあらすじから薄々感づいていましたが、この作品はくんちゃん目線で次々と場面が切り替わります。

作品の大まかな流れは

くんちゃんが家族に反発する→庭で不思議な体験をする→少し成長したくんちゃんがまた家族に反発する→また庭で不思議な体験を…

という流れです。

 

見た後の率直な感想としては

短編集を1つの作品にまとめた映画

でした。少しずつ違う場面を順にくんちゃんが体験することから、チャプター1、2、3…という見方もできます。

だからこそ、「次の短編集」に移る際に、くんちゃんが成長していることを見られればよりよかったのですが…。

1つの作品ではなく、細切れの短編集と感じてしまうのは、くんちゃんが過去の体験から次のシーンでの自分の行動を改めようとしない(毎回「好きくない!」と言っています)ため、1つ1つの展開に関連性を感じられないからなのかもしれません。

 

また、よく作品を見ると少しづつ時間が進展しているのがいいですね。

擬人化したユッコと出会うのは雪が降る冬。

未来のミライちゃんに出会うのはひな祭りの翌日。

過去のおかあさんと出会い、暴れまわるのは梅雨の季節。

ひいじいじと出会い、自転車に乗られるようになるのは夏。

場面の変化とともに、季節も変わっているため、見ている側にとっては「あ、また次の”くんちゃんの冒険”が始まるな」と理解しやすい構成になっています。

多分、親が見たら最高に楽しい作品。でも子供にとっては…

自分はまだ結婚もしていないですし、子供もいません。この作品が一番心に残るのは間違いなく親御さんです。

くんちゃんはとんでもない奴です。妹の鼻に手を当てて息出来なくさせるのってどんな畜生よ…。そのくせ妹にくすぐられてM心を開花させてるしもうやばい。

くんちゃんは過去の母親やひいじいちゃんと出会い、ミライちゃんを妹と認め守ることで少しずつ成長していきます。

 

子供って大人が何かやっていることを見たりして、勝手に「ああ、こうすればいいんだ」と感じ、行動に活かしていくことって多々ありますよね。

実際にくんちゃんのように過去に行ったり、未来に行ったり、現代に未来の妹が来たりすることはありませんが、「親の知らないちょっとしたことで子供は成長する」ことを感じられる映画になっています。

知らぬ間に成長した子供の姿に親は喜ぶものなのでしょうか。作中だとやっぱりひいじいちゃんの教えによって自転車に乗られるようになったくんちゃんを褒め、泣きそうになるおとうさんの姿が一番印象的です。

 

対して、小さい子供には少し不向きな作品かな、とも感じます。確かに話自体はとても分かりやすく、風景なんかもとてもきれいです。ただ、小学生に入る前の子供がそういった親心を理解できるかといえば…それはとてもあざとい子供ですね(笑)

また、ひいじいちゃんの時代に戻るシーンの演出は歯車(?)が人の顔をかたどっているようで少し不気味(しかも突然爆音になる)ですし、東京駅のシーンは自分が見ても不気味だなぁ…と感じる演出が多くありました。

怖がりな子供だと泣いちゃうかも…?作品の分かりやすさ自体は素晴らしいんですけどね。

「泣き」を求める人には合わないかも?

作中で多くの時間を割いて描かれたひな祭りの人形を片づけるシーンはとても面白いです。かなり笑えます。顔芸とシュールな雰囲気最高です。

 

逆に当初期待していた「泣き」要素はほとんどありませんでした

強いて言えば、最後におとうさんの身体が弱く、小学生に入るまで自転車に乗れなかった過去を見たときですかね。

このシーンを見た後に、くんちゃんが1人で自転車に乗ろうとした際に「がんばれー!」と叫ぶおとうさんを思い出すと、おとうさんの表情の意味が分かり、少し心にくるものがあります。

上でも書いたように、親御さんであれば泣けるシーンもあるのかもしれませんが…。少なくともハンカチを持って行って泣くぞ!という作品ではないような気がします。

「未来のミライ」の考察

それでは、この記事の本編である作品の考察に入っていきます。

ミライちゃんが未来からやってきた理由は?

公式のあらすじに「“ミライちゃん”がやってきた本当の理由とは―」とまで書いておいて、ミライちゃんの口から理由が明かされることはありませんでした。

それでは、何故妹であるミライちゃんはくんちゃんに会いに来たのでしょうか。高校生のくんちゃんのセリフから考察をしていきます。

 

 

ミライちゃんが過去のくんちゃんの元に来た理由。それは、

行けなかった夏の思い出を作るため

ではないでしょうか。

 

電車に飛び乗ろうとする過去の自分に対し、「ズボンと旅行どっちが大事なんだよ!?」「まさか電車に乗らないよな?」と言う高校生のくんちゃん。

そして、エンディングで旅行に行く前にはしゃぐミライちゃん。

このことから、元の時間軸(=ミライちゃんがくんちゃんの元に行かなかった時間軸)では、くんちゃんは結局ふて腐れたままで家族と旅行に行かなかったのではないでしょうか

行ったのかもしれませんが、機嫌を損ねたままで楽しい思い出が作れなかった、という可能性もあります。そして、くんちゃんはそのことをずっと後悔して生きてきました。

 

おかあさんは大切に写真をアルバムに取ってあります。でも、くんちゃんがふて腐れてしまったことで家族全員で旅行に行くことができず、旅行の写真を撮ることができませんでした。

おかあさんは当時の記憶が無い(子供は3歳までの記憶は無いといいます)ミライちゃんにもそのことを愚痴ります。

 

成長し、くんちゃんは当時の出来事に心を痛めます。彼が考えたのは、家に伝わる不思議な力で過去の自分を成長させること。でも、不愛想な自分が過去の自分を説得はできない。だから、妹のミライにその夢を託したー。

 

…ここまでの話は最初の状況証拠以外は完全に僕の妄想になります。それでも、初めての家族4人での旅行に行く直前のシーンで作品が終わることを考えると、真相は案外こんなものなのかも…?

 

映画内でミライちゃんが強調していた「過去が積み重なって今の自分たちがある」という言葉。それは思い出も同様で、幼いころの思い出は現在・未来の自分を形作るものになります。

大切な家族の思い出を、存在したはずの思い出を取り戻したい…。そんな単純な願いが産んだ”奇跡”がミライちゃんがくんちゃんに会いに来る形になって叶ったのではないでしょうか。

 

他にも「家族の大切さを教えるため」にミライちゃんが時を超えた…という考察も成り立ちますが、それはミライちゃんがわざわざ果たさなくても良い役割な気がします。

自分の中でももやっとした部分があるので、ミライちゃんが来た理由の考察は追記するかもしれません。

作品のテーマは何なのか

もちろん、大きなテーマの1つは「家族」です。最後にミライちゃんとくんちゃんが過去の様々な場面を見ていくシーンの中で、ひいじいちゃんとひいおばあちゃんのかけっこの様子が描かれました。

その中でミライちゃんは「過去が積み重なって今の私たちを作っているんだよ」ということをくんちゃんに説明します。

過去の何か1つでも歯車が狂っていれば、今の自分は存在しない。自分どころか家族だって存在しないのだから、過去と現在に感謝をし、もっと大事に生きていこう…こんな説教臭いメッセージ性は第一に感じられます。

 

ただ、自分が印象深かったシーンは別にあります。それは、くんちゃんが近未来の東京駅に迷い込んだシーンです。スマホを見て歩く大人たち、くんちゃんが親だと思って呼び止めた人物の個性のない顔、そして遺失物取扱所の駅員の無機質さー

そもそも、4歳児の子供が駅を1人で歩いていれば、声をかけてあげる大人が1人はいてもおかしくありません。

しかし、作中の大人たちは誰1人として声掛けをしませんでした。「おとうさん!」「おかあさん!」と呼んだ大人たちは、くんちゃんを心配するどころか「お前は誰だ?」と言わんばかりののっぺらぼうっぷりを見せてきます。

 

対して、ひいじいちゃんの時代に迷い込んだ際の風景描写はとてもきれいでした。戦後の日本で何も無いような環境だけど、倉庫に迷い込んだくんちゃんにひいじいちゃんは真っ先に声をかけます。完全に東京駅のシーンとは正反対のお話です。

 

つまり、この作品が伝えたかったことは

現代の世界は冷たいもので、どこか生きにくい世の中になっている

でも

「家族」の存在は過去から受け継がれてきた不変の物で、あたたかい愛が通っているんだよ

くんちゃんに声をかけたミライちゃん・ひいじいちゃんと声をかけなかった東京駅の人々の対比はこんなことを表していたのではないでしょうか。

前半の流れと後半の急展開は「成功」なのか?

映画の前半はゆっくりとくんちゃんの冒険を描き、後半で一気に加速しミライちゃんのことを妹と認め、元の時間軸に戻るところまでが描かれています。

確かに前半のミライちゃんやユッコとのシーンは結末にはほぼ繋がっていません。見る人によっては、前半の「グダグダ感」が好きではない、という人も間違いなくいると思います。

僕も映画を見終わった直後は同じような感想を抱いていました。前半をもっとコンパクトにして、過去の母親やひいじいに会いに行くシーンや、くんちゃんが「迷子」になるシーンにもっと時間を割けばよかったのに、と。

 

ただ、前半のスローペースの展開があったからこそ、作品全体の面白さに繋がっていると今では感じています。

この作品の良さは「話の分かりやすさ」が大きな一要素です。難しい話はほとんどなく、誰が見ても理解しやすい作品です。

 

どうして理解しやすいと感じるのかを考えてみると、前半のスローペースのユッコ・ミライちゃんとのやり取りが大きいような気がします。

ここをじっくり描くことで、作品のコンセプトや人間関係を余計な説明をすることなく視聴者に示すことに成功しています。結局、ユッコが擬人化していた理由も明かされていませんし、庭で過去や未来へ行けた理由も一切不明です。

 

それでも、前半でギャグシーンを織り交ぜつつ(ひな祭りのシーンはめっちゃ笑ったw)、視聴者にユッコ・ミライちゃんを見せることで「この作品はこういうものなのか」と感じさせ、未来とミライという作品にうまく引きずり込んでいます

そして、これまでのスローな流れからは考えられない水の中を魚と共にくんちゃんが流れるシーン。

前半の「現在」と後半の「過去」と「未来」。流れに緩急をつけることで、作品のモチーフを分かりやすく視聴者に見せ、「過去」と「未来」の冒険にインパクトを与えています。その意味で作品の構成としてはベストなものになっていたのではないでしょうか。 

映画「未来のミライ」を見た感想まとめ

未来のミライ (角川文庫)

未来のミライ (角川文庫)

 
ミライのテーマ / うたのきしゃ 【初回限定盤】

ミライのテーマ / うたのきしゃ 【初回限定盤】

 
時をかける少女 期間限定スペシャルプライス版 [Blu-ray]

時をかける少女 期間限定スペシャルプライス版 [Blu-ray]

 

というわけで、映画「未来のミライ」の感想と考察でした。ネット上の評判はあまりよろしくないようですが、個人的にはとても楽しい100分間でした。

小説版だとミライちゃんがくんちゃんに会いに来た理由なんかも書かれているのかな…?ぜひ読んでみたいです。

それにしてもオリジナルのアニメ映画はやっぱりいいものです。このような作品がたくさん出てくることを願って…。それでは、この辺で。