やがて君になる 2話 感想&考察!2人だけの世界と3種類の「ずるい」
第2話「発熱/初恋申請」
ー今、すごく満足なんだ。この気持ちを諦めたくない…ダメ?(燈子)
すごいですね、このアニメ。はたから見ると進展が遅いアニメのように見られそうですが、2話の体感時間は5分ほどでした。引き込まれるという言葉がぴったりです。
というわけで、やがて君になる 第2話「発熱/初恋申請」の感想と考察を書いていきます。2話までのネタバレがあるので、未視聴の方はご注意を!
(注意:管理人は原作未読です。ご了承を)
やが君 2話のあらすじ・ネタバレ
侑は燈子の「君のこと、好きになりそう」のセリフが頭に残ります。一方、燈子と苦楽を共にしてきた沙弥香は推薦責任者として自分が選ばれなかったことに不満顔です。
沙弥香に対し、燈子は1年生を推薦者にするメリットを説きます。沙弥香は「私よりもあの子(侑)との信頼を深めたいわけね」と返しますが、燈子の返答は「今更私たちにそんなもの必要?」という言葉でした。
その後、侑は沙弥香から応援演説の原稿を受け取ります。そして、帰路につく侑と燈子。侑はあの日の言葉の真意を燈子に尋ねますが、明確な答えは返ってきません。
踏切を列車が通過したタイミングでその瞬間は訪れました。燈子から侑への唐突なキス。燈子は「私の好きって…こういうことしたい好きだったんだ…」と言い、2人に無言の時間が流れます。
日が経ち、燈子は「侑に責任者を頼んだのはそういう理由じゃない」と侑に伝えます。しかし、侑ははじめてのキスで何も感じていませんでした。
生徒会長候補者の写真撮影の際に侑はこっそり燈子の手を握ってみます。顔を赤らめた燈子に対し、侑は「ずるい」という感情を覚えます。
侑は燈子に「燈子のことは好きになれない」と伝えることを決めます。
しかし、燈子は先回りし「ただ好きでいさせて」と告げます。「この気持ちを諦めたくない」という燈子に侑は何も言えなくなってしまい、再び「ずるい」と感じました。
以上です。
2話の感想と考察
OPもEDもこの作品に合っている大変素敵な曲です。特にOPの入り方とサビのメロディ、EDの歌詞がお気に入りです。早くフルで聴きたいですね…!
TVアニメ「 やがて君になる 」エンディングテーマ「 hectopascal 」
- アーティスト: 小糸侑(CV:高田憂希),七海燈子(CV:寿美菜子),高田憂希,寿美菜子
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キスの瞬間に訪れた「2人だけの世界」
1話の感想記事に続き、2話の中でも印象的だった描写の紹介から入ります。
圧倒的に心を奪われたのはやはり燈子が侑にキスをしたシーンです。キスの瞬間そのものではなく、その直前を描いた描写が鳥肌物です。
通過する列車によって踏切の向こうの人々からは侑たちの姿は見えません。音が消え、余計な背景色も消え。映し出されるのは重ね合わせた唇と燈子の台詞だけです。
時間が止まったように感じなくもないですが、それよりも世界がこの瞬間に侑と燈子のたった2人だけになったように感じる描写、という方が正確でしょうか。
カラフルな現実の世界から2人が淡色で浮き上がったように感じられました。まさにあの瞬間、「2人だけの世界」が出来上がったわけですね。
もちろんこの表現には侑と燈子のキスを際立たせ、「魅せる」意図が大きいのは確かです。ただ、自分としては燈子が「特別」な世界に入り込んだことを視聴者に見せつけるための表現にも見えました。
周囲とはまた少し違う、「特別」な世界へー。
その「特別」な世界から戻ってくるための描写が、1話でもあった葉っぱが舞い散るシーンだったのが憎いですね。
深海の世界と光が照らされる世界
続いても表現について。自分が知らない「特別」を燈子が知っていることへの侑の心情を表現する際に深海の世界が描かれました。
海の底から光に向けて手を伸ばす侑。実はこの海の表現は1話でも登場しています。
1話では恋愛トークをする2人の友人が明るい海の中にいる一方で、侑はその隣の暗い海の中にいる描写が施されていました。
前回は隣に友人がいましたが、今回は隣にいるはずの燈子の姿は映っていません。”そこにあるはずなのに見えない、届かない”侑の心情を上手に表しているように感じます。
わざわざ深海を持ってきているということは…。
侑の中にある「”特別”が分からない」という感情は視聴者が想像しているよりもずっと深い想い(悩み?)なのでしょうか。一歩先に泳いで行った燈子への仕返しが手を握ることだったのですね。
燈子が言われた3つの”ずるい”
2話の中で燈子は3回「ずるい」と言われています。1つ1つ見ていきましょう。
①沙弥香に言われた「ずるい」
これは視聴者サイドから見ても「燈子はずるい」と感じた人が多かったのではないでしょうか。
「自分よりも侑との信頼を深めたいのね」と呟いた沙弥香に燈子は「今更そんなもの必要?」という答えを用意します。
これは肯定も否定もできない問いです。
肯定すれば、今までの自分たちの信頼は薄かったことになり、否定すれば自分たちの間に信頼など必要ない、と告げることになってしまいます。
結果として沙弥香ができるのは「今までの自分たちには十分な信頼関係があるから、そんなものは必要ない」という回答しかありえません。
沙弥香が燈子を大切だと思っていないと成立しないやり取りですが、そこまで踏まえての発言であるからの「ずるい」です。
②手を握った侑に言われた「ずるい」
この「ずるい」が一番心情を捉えにくい発言になります。
ただ、侑目線に立てばきわめて自然な感情とも言えます。1話の時点で、侑の目線から見ると燈子は、これまで誰もいなかった自分と同じ気持ちを持つ女性(=「特別」が分からない女性)でした。
それが、何故だか分からないうちに燈子は「特別」を知ってしまい、自分とは違うステージに立っています。2話の中で侑は何度も燈子の言動を間違いだと思おうとしている場面が見られます。
写真撮影の際には、侑は数々の言動が”間違い”であることを確かめるために手を握りました。
しかし、静かに顔を赤らめた燈子を見た侑は、告白やキスが間違いではなかったことを悟ってしまいます。
この瞬間に侑は「燈子が間違いなく”特別”を知ってしまった」ことを知ってしまいます。自分とは既に違う存在に燈子はなってしまいました。これは1つ上の見出しで挙げた海の表現にも繋がります。
同じだと思っていた相手が先に行ってしまったー。このことを強く知ってしまったが故の「ずるい」です。
③ただ好きでいたいと言われた後に侑が感じた「ずるい」
この「ずるい」は①の「ずるい」と似た感情ですね。
「この気持ちを諦めたくない」と言われて拒絶することは難しいでしょう。
燈子の問いかけに対する侑の返答も実質”自分を好きでいることは構わない”というものに限られてしまっています。
先回りで自分の欲しい解答を得る燈子先輩…。なんて恐ろしいのでしょう。
初恋で一目惚れだからこそ、唐突に。~”百合”だからこそ成立する描写!
1話の考察でも書いたように、燈子の不意の告白は単に一目惚れだから起こったモノと言う風に書きました。
2話でも恋愛のイロハを知らない(であろう)燈子によって、不意のキスがあったりと侑が振り回されています。
突然の告白、突然の放置、突然のキス…。これらは男女の恋愛ラブコメでは描くことが困難でしょう。
想像してみましょう。イケメン男子が突然下級生に告白したと思えば、はぐらかし放置。いきなりキスをしたと思えば、また放置。
はい、大炎上確定ですね。ネット上で罵声だらけになっている風景が浮かびます。
それを女性同士の物語にすることで幾分か緩和されている気がします。2人の人間の究極の恋愛を描くためにあえて百合作品にしたのではとまで思います。
同性同士の恋愛だから成立する物語。そう考えるとますます男子が作品内で登場していることにも頷けます。
意味深な職員室の会話
最後に考察要素として押さえておきたい先生方の会話をメモ書き程度に残しておきます。
職員室では、2人の先生が燈子が生徒会長になることに関して「あいつも喜んでいるでしょう」という会話をしていました。
大体こういう台詞って亡くなった人に対して使われるんだよなぁ…。
1話の考察でも書いたように燈子の過去には「特別」が裏切られた過去があるような気がしています。だとすれば、燈子の恋人が生徒会長になる寸前で命を落とした…とか。
でもそれだとタイトルの”初恋”という言葉と矛盾する部分が出てきてしまいます。
もしくは、侑絡みの過去ということも考えられますが、それだと侑がもう少し憂鬱そうな顔をしてもいいように感じます。
現時点では台詞の正体が読めませんが、今後の展開に影響を与えそうなやり取りです。
アニメ「やがて君になる」2話の感想まとめと3話に向けて
TVアニメ「 やがて君になる 」オープニングテーマ「 君にふれて 」
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というわけでやがて君になる第2話の感想&考察記事でした。
毎週金曜日が楽しみでなりません。この丁寧な描写が最後まで続くと考えると…。どんな物語が見られるのでしょうか。
あとは茅野さんボイスの沙弥香がどのタイミングで横槍を入れてくるのかが怖くもあり、期待もしている部分です。それでは、この辺で。
【追記:3話の感想を書きました!】