やがて君になる 8話 感想&考察!アジサイ描写と握れなかったその手
第8話「交点/降り籠める」
ーそうだよね、侑は。(燈子)
七海燈子先輩の攻略フローチャートがあったらとんでもなく複雑なものになるんだろうなぁ…。1つやらかすと即終了とかもうね。言葉狩り怖い!!
というわけで、やがて君になる 第8話「交点/降り籠める」の感想と考察になります。8話までのネタバレがあるので、未視聴の方はご注意を!
(注意:管理人は原作未読です。ご了承を)
やが君 8話のあらすじ・ネタバレ
燈子と待ち合わせをしていた沙弥香は、中学時代に付き合っていた先輩と再会します。沙弥香は先輩にある種の感謝と、別れを告げ燈子と共に出かけます。
生徒会では体育祭のリレーの練習をしますが、侑と沙弥香のパスがうまく繋がりません。侑は沙弥香を誘い、ハンバーガー屋へと向かいました。
燈子が言うから劇はやりたいと告げる沙弥香に侑は、「燈子先輩のことすごい好きですよね」という言葉をかけます。2人は互いに”友人として””先輩として”好きだということを告げます。
とある日の放課後。雨の中、侑は傘を忘れます。タイミングが悪く傘持ちの誰とも帰ることができなかった侑の元へ燈子が登場します。
他愛のない話で笑い合いながら帰路につきます。燈子は「自分の相手をするのが嫌なのでは」と侑に問いかけます。侑の返答は「面倒を見ているなんて思っていないし、今日は嬉しかった」。
燈子は”嬉しい”という言葉に反応し、どういう意味かを問います。侑は”安心した”という言葉に置き換えその場をやり過ごします。人の好意にとことん鋭い燈子です。
その後のリレー練習では侑と沙弥香のバトン渡しがうまく繋がります。2人は「燈子は厄介だ」という思いを同じにするのでした。
以上です。
8話の感想と考察
7話までで語られた、それぞれの人間関係を確かなものにするような8話でした。
物語が少し落ち着いたかな…と思いましたが、4話・5話→衝撃の6話の例があるので9話以降も物語が落ち着く、なんていう想定は全くしていません(笑)
アジサイの色とそれぞれの反応
8話の見どころの1つだったアジサイの質問。燈子は沙弥香に、沙弥香は侑に、侑は燈子に好きなアジサイの色を問いかけます。
既に考察されている方がいらっしゃるとは思いますが、アジサイの花言葉からそれぞれの問いかけと回答について考察してみます。
以下、色々と書いていますが結局好きなアジサイの色=好きな人を尋ねている描写になっている(と思われる)のが8話のアジサイのやり取りです。
この辺は、自分のブログにコメントをして頂いた「自由気ままな霞草。」さんがうまくまとめてくれています。
再掲
— 自由気ままな霞草。 (@syaro_economics) 2018年11月24日
アジサイの色は各々のキャラの象徴であり、好きなアジサイの色を尋ねることで間接的に“好意を向けているのは誰か”という問いへ帰着させていることが言える。
更に、七海先輩の「その嬉しいってどういう意味?」と発言したシーンを描くことで、彼女は「“他人の好意に対して敏感すぎる”人物」(続)
という確固たる作品上の立ち位置を獲得したのである。
— 自由気ままな霞草。 (@syaro_economics) 2018年11月24日
(引用:自由気ままな霞草。 (@syaro_economics) | Twitterより)
①アバン:燈子から沙弥香へ(晴れた日の昼間)
映っているアジサイの色は「青」と「白」になります。この2色のアジサイの花言葉は以下の通りとなります。
青い紫陽花の花言葉は、
清澄(せいちょう)…澄み切って清らかという意味。
知的
神秘
です。
白い紫陽花の花言葉は、
寛容…心が寛大、広い心
ひたむきな愛情…ひたむきは、一途に打ち込むという意味。
です。
というわけで、言葉の意味合い的に、青=燈子ということは確定でいいでしょう。
まさに、世間一般で見た燈子そのものです。もちろんその中身は沙弥香と侑だけが知るところですが。
白のアジサイは「寛大」という意味合いで、これは侑とも沙弥香とも取れますが99%白のアジサイ=沙弥香と決定づけていいでしょう。理由は後述します。
とりあえず次のシーンも見てみましょう。
②Aパート:沙弥香から侑へ(晴れた日の夕方)
映っているアジサイは「黄色」と「ピンク」になりますが、実際には黄色のアジサイは一般的に存在しないため、夕焼けで色が変わったように見える「白」でしょう。
ピンク色のアジサイの花言葉は以下の通りとなっています。
ピンクや赤い紫陽花の花言葉は、「元気な女性」となっています。
3人の中で”元気な女性”と呼べるのは侑ぐらいのものなので、ピンクのアジサイ=侑となりそうです。
このため、自動的に白いアジサイ=沙弥香と決定づけてもよさそうですが、アジサイを見ているそれぞれのカップリングに注目しても、白いアジサイは沙弥香を指しているものだと考えることができます。
燈子と沙弥香が見たアジサイは青・白。
沙弥香と侑が見たアジサイは白・ピンク。
侑と燈子が見たアジサイはピンク・青。
それぞれのアジサイの色がそのアジサイを見ている2人とぴったりマッチした物になっています。
それぞれのシチュエーションで彼女らは自分に合った色のアジサイを見ていたわけです。青=燈子とすれば…この視点で考えても白=沙弥香が確定します。
③Bパート:侑から燈子へ(雨の日の夕方)
最後に侑と燈子のシーンは前述の通り、ピンクと青のアジサイが映ります。
8話のアジサイの問いかけで面白かったのは、誰も「この色が好き」と明言はしていないことです。それでも、きっと沙弥香と侑は「青色(=燈子の色)が好き」と答えたのではないか、と思います。
侑も沙弥香も青色が好きではないか?と思われる描写があるんですね。
侑については、5話で燈子が侑の家に来たエピソード内で映った彼女の部屋です。質素な部屋の中に移っていたのは水色のタンスでした。
沙弥香については8話で水色のワンピースを着ていました。
タンスや服の色だけで決めつけるなんて妄想じゃないかって?
はい、その通りですw
でも、色について判断できるポイントを残してくれている以上、侑も沙弥香も青系統の色が好きで、好きなアジサイの色も青=燈子と答えた…と考えるのが自然です。
更には、最後のバトンタッチの練習で息が少し合ったように見える2人。これは好きな色(=燈子)を共有したからーと考えると8話の流れが極めて自然なものになります。
ちなみに、燈子は何と答えたのでしょう。この部分については「燈子が寝てしまった」というのが答えになっていると思います。
エピソードの中で映っていないだけで、侑も沙弥香も好きなアジサイの色を答えています。でも、燈子は寝てしまい答えていません。
もちろん、侑色のピンクや紫と答えた可能性が高いとは思いますが、彼女のことだからアジサイは好きじゃないとか言っていたのかも…?
いずれにしても、燈子については判断できる材料がないからこそ、燈子については「寝たことにして答えさせなかった」というのが正解だと思います。
もちろん、半分ぐらいは自分の妄想によるものですが、ここまで伏線が張り巡らされているアニメです。考えれば考えるほどに面白みが増していきます。
想像が確信に変わった日~重ねられなかったその手
8話のBパートの冒頭にて、侑はこう述べています。
侑「あのときの七海先輩は、多分こう言っていた。”私を、好きにならないで”」
侑のセリフの中には”多分”というフレーズが入っていたのが印象的です。
少なくとも、この時点で侑は燈子の真意(=燈子は「燈子のことを特別に思ってない侑が好きで一緒に居るのだ」ということ)に確信を持てていません。
その100%ではない疑念が「確信」に変わってしまったのがBパートの雨宿りのシーンです。
燈子に対し「嬉しかった」と侑は告げます。その言葉に対し、燈子は恐ろしい形相で「どういう意味?」と問いました。
燈子の急変した表情と流れた数秒の間から侑はすべてを察しました。
私の”想像”は”正解”だったのだーーと。
少し話がそれますが、この場面の緊張感は件のアジサイに咲いている葉っぱからも感じ取ることができます。
燈子がやべー奴モードに入り、葉っぱに雨が滴り、滴の重みで葉っぱが揺れます。
燈子の「そうだよね、侑は」の言葉と笑顔と共に滴が地面に落ち、葉っぱの”きしみ(緊張)”が解かれます。葉っぱ1枚で2人の間の空気を描写しきった隠れ名シーンだと思います。
その後、侑と燈子は2人でベンチに腰掛けます。侑は寄り添ってきた燈子を受け入れます。そして、彼女は燈子の手へと手を伸ばそうとしますが…。
当然、燈子の手を握ることなんてできません。
”侑が自分から”燈子の手を握ってしまえば、すべてが終わってしまうから。侑のその行為を好意として燈子は受け止めてしまうから。そうなれば、燈子は自分の元を去ってしまうから。
侑は自ら手を引っ込め、ひとまずの現状維持を選択します。
この宙を泳ぐ侑の手の動きの描写も大変に素晴らしいです。手を重ねそうになっている自分に気が付いたかのように、自らの手を燈子の手から遠ざけています。
何だよこの超高難易度の選択肢は…。
今はまだ侑の気持ちがそこまで大きくなっていない(好きだけど気にするレベル)だからいいけれど…このまま侑の気持ちが大きくなったらどうなってしまうのでしょう。
まさに侑は生殺しの状態です。この…七海燈子の奴…!お前はいつもいつも…!
そもそも燈子の「嫌われたらどうしよう」って相手本人に言う言葉じゃないですよね。侑の「嫌いませんよ」という言葉を引き出しているとしか思えないずるいセリフです。
繋ぐ手とそれぞれの距離感
1つ上の見出しでも「手」について触れましたが、8話ではもう1つ印象的な「手」を描いたシーンがありました。アバンの燈子と沙弥香です。
沙弥香は昔付き合っていた先輩の言いっぷりに対し、「さようなら」を告げ、燈子の腕を抱きます。その後、燈子が沙弥香の手を握るのですが…。
照れる沙弥香の破壊力と、クール感を発している燈子さんが何とも言えないです。侑が相手だとあそこまでドギマギする燈子がめっちゃかっこいい。
沙弥香は侑と燈子の一件を知らないからこそ、彼女にとっては幸せな時間ですが、すべてを見てきた視聴者サイドにとってはそうではありません。
今回沙弥香と燈子でした以上のことを、侑と燈子は既にしてきているわけです。それも燈子の主導によって…。
燈子が侑と沙弥香に向ける態度の違いも心にずしりとのしかかります。それでも、沙弥香が幸せな表情で「今」を噛みしめているのがまた…。
燈子・沙弥香と燈子・侑で手の繋ぎ方のカットでここまで違いが出るとは。
各々の距離感が異なるのも印象的でした。7話の最後に見られたように、沙弥香は燈子と文字通り一線を画すように歩きはじめました。
沙弥香と侑は一緒に食事には行きますが、2人の距離感はまだ遠いままです。そして、燈子は無邪気に沙弥香に近づき、計算づくで侑との距離を詰めていきます。
それでも、「燈子は厄介である」という思いを共にした侑と沙弥香が、最も心の内面での距離は近いのかな、と思ったり。
そう考えると2人の間に少し空いた物理的な距離感も逆に受け入れられる気がします。
奇しくも2人は「先輩(燈子)が先輩(燈子)になったら」という想いを抱きました。
沙弥香は自分が”好き”と告げられるのかを考え、侑は自分がどうなるんだろうと考えました。この辺りは2人の燈子への想いの違いを感じることができます。
既に”好き”という言語で燈子を表現している沙弥香と、まだ”好き”とは言いきれない侑(もっとも、既に侑も”好き”と無意識に感じている場面が多々見られますが)という対比です。
現状で燈子に対して思っていることは2人で少し異なりますが、感情の行きつく先は”燈子が好き”という同一のものです。
こういった「心の通い」が、上手になった2人のバトンタッチで表現されていたように感じます。
7話を振り返る~他ブロガー様の記事といただいたコメントから
最後に、7話の振り返りとして他ブロガー様の記事といただいたコメントをいくつか紹介させていただきます。7話の感想記事は以下からどうぞ!
すさまじい考察を披露されておられたブロガー様の紹介から。づかさんの「三十路会社員のレート奮闘記」様です。
コーヒーについての考察は度胆を抜かれる面白さですし、自分としては7話最後の燈子・沙弥香間に引かれていた線の考察が非常に面白かったです。
侑は6話で境界線上を一人で歩いています。その先はT字路。侑がぶれない人間であること、孤独、分岐点を迎えた状態を示しています。
一方で沙弥香は、7話ラストに燈子と境界線を隔てて歩く描写が。燈子と沙弥香は交わらないけれども、進む先は同じ、とも見えます。道の先は描かれていません。
侑と比べると、これでもかというくらい対照的です。
(引用:やがて君になる 7話 感想&考察 ~佐伯沙弥香とコーヒー/侑と沙弥香の対比~ - 三十路会社員のレート奮闘記より)
続いていただいたコメントから。やが君記事では毎回多くのコメントを頂いており、嬉しい限りです。
感謝…圧倒的感謝っ…!
コメント返しもさせて頂いております(毎回返事が遅くなり申し訳ないです…)ので、気軽にコメントをどうぞ!
まずは、ttttさん。今回自分の記事でも考察した距離感の違いについて。
ED最後の燈子と沙弥香が並んで歩くシーンは、4話でこの二人が登校してるときにも同じ視点があったように、侑と燈子の距離感との違いが強調されているのも見事でしたね。
教室から出て、自然と燈子が前を歩いているところも沙弥香が燈子を好きなポイントなので、今見返していてニヤニヤしました。
(当ブログやがて君になる 7話 感想&考察!2人の想いとコーヒーの描写 - アニメのおすすめなどを語るブログコメント欄より)
燈子が前を先導して歩いているという自然な描写。本当に芸が細かい…!
続いて、mostigerさん。カフェの沙弥香の行動について。
今回の描写の中で、個人的には登場人物の身体の一部分に演技をさせるものが強く印象に残りました。沙弥香が都に理子との関係を問いただすシーンはその典型だったと思います。
両手をがっちり絡めて緊張感を醸し出していたものが、都の告白によって安堵したからかその力を緩め、そして都が沙弥香に話を振ると心を開くかのように指の絡みをほどく。
(引用:当ブログやがて君になる 7話 感想&考察!2人の想いとコーヒーの描写 - アニメのおすすめなどを語るブログコメント欄より)
自然な描写だけでなく、個々の行動にもしっかり心情が反映されているんですね。
ぜひぜひ皆さん、もう一度7話を見返してみてはいかがでしょう。きっと、これまでと違う発見があるはずです。
アニメ「やがて君になる」8話感想まとめと9話に向けて
というわけで、アニメ「やがて君になる」8話の感想記事でした。「佐伯沙弥香について」は原作未読でも大丈夫そうですが、いかんせん売っていない…。
そして、円盤の購入を迷っております。正直今期はリリスパで決まりだ!と思っていたのですが。初の1クール2作品買いも検討中です。このアニメを1クールで終わらせてしまうのは本当に惜しいです。
9話も楽しみです。それでは、この辺で。
【追記:9話の感想と考察になります!】