あかねさす少女 12話(最終回)感想&考察&評価!未来へ向かう明日架と残ったいくつかの謎
第12話「いつか、黄昏の降る空の」
ー何1つ恐れることなんて無い。だって、私たちの未来はいつでも今日、始まるのだから!(明日架)
いやあ、間違いなく賛否両論を巻き起こしそうな締め方でした。明日架とあすかの問答は絵コンテ大沼さんということもあり、迫力満点でしたね。
というわけで、あかねさす少女第12話(最終回)「いつか、黄昏の降る空の」の感想と考察になります。作品全体を通したネタバレがあるので、未視聴の方はご注意を!
※当ブログでは元の世界の登場人物を漢字表記、フラグメント間を自在に移動する人物をカナ表記しています(シリアスカ=アスカ、エロ優=ユウとなります)。
※感想・考察パートにおいて、黄昏の使者は「あすか」と表記しています。
あかねさす少女 12話(最終回)のあらすじ・ネタバレ
明日架はラジオを優に預けて、あすかと共に進みます。明日架はあすかとちくわを食べながらちくわを好きになった理由を語ります。今日平と食べた思い出こそが理由でした。
どのフラグメントでも今日平は存在しません。今日平が消え、明日架は自分を守るため、周囲に可哀想な子だと思わせるために涙を流したという過去がありました。
今日平を失った罰。自分のために泣いた罰。罪滅ぼしに、明日架は嘘をつき、今日平が歩むはずの人生をなぞり始めます。そして、あすかは感情を捨てることにします。
今日平がいないのだから、世界が消えても同じことー。その想いが一杯になったあすかの元に黄昏はやって来ます。あすかは黄昏によってあすかの世界を滅ぼしました。
感情も、世界も捨てたあすかは”何でも持っている”明日架を「ずるい」と評します。一方で、明日架は誰のせいにもせず、自由に生きることを決めました。
あすかの心にも今日平がいると感じたとき、あすかは明日架に包まれ、明日架は元の世界に戻ります。そして、明日架は3年生になります。”可能性”を信じ、優と同じ大学を目指します。
明日架たちはアスカの部下であった1年生の真由希と出会い、ラヂ研に勧誘します。そして始まる日常。「新しいことにぶつかっていこう」というラジオパーソナリティの声が響きます。
とある日の午前4:44。土宮家に味噌泥棒が現れます。なぜか顔を綻ばせ走っていく明日架。彼女の手には宙からモジュールが降ってくるのでしたーー。
以上です。
12話(最終回)の感想と考察
正直「かなり難解な終わり方」だと思います。一応一通り書きたいことは書きましたが、明日以降追記するかもしれません。
テーマは「自分と向き合い、選択すること」
11話から引き継いだことを、明日架編でも上手に描いてくれました。
11話では、みあ・奈々・クロエが足を止めずに戦い続けることを意識したとき、真の意味で覚醒したように見える描写がありました。
そして、優は自分の気持ちと向き合い、明日架に想いを告げたことでイコライザー化しています。
対して、あすかと明日架は過去に自分と向き合わず、自分の中の時を止めていました。
明日架は「今日平の人生をなぞる」という形で、罪滅ぼしの一生を過ごそうとします(余談ですが、今日平の夢が味噌屋を継ぐことだと思われるので、父親が反対していたのも納得できます。父親は「好きな人生を歩め」と伝えたかっただけなんですね)。
そして、あすかは「今日平がいないこの世界」ごと消すために黄昏と触れ合い、世界を無にします。
同時に感情を捨て、友人も捨て、何もかもから向き合うことを放棄しました。
最後に明日架が「私たちの未来は今日始まるのだから!」と回想し、モジュールを手にしている場面を見ると、やっぱりこのアニメが伝えたかったことは
立ち止まらず、自分と向き合って未来に向けて選択をし続けること
というシンプルなものです。
それによって新たな「可能性」が開けます。
一方で、アスカは今日平の喪失を受け入れた上で、黄昏と闘うという「選択」をしたからイコライザー化していたのかな、とも思ったり。
圧巻の明日架とあすかの問答~2人の明日架の狙いを整理
絵コンテ:大沼心さんということで、明日架・あすかの話し合いのシーンはシャフト感が満載でした。
その中でも特に印象的だったシーンを並べてみます。
冒頭の明日架とあすかの目が重なるシーンです。
これだけでも、2人の明日架は思い出を共有している(=少なくとも今日平が消えるまでは同じ人生を歩んでいたと思われる)ことが分かります。
更に、あすかが明日架の点数を言い当てたことで、2人が同じ過去を持っていることが明確になります。
明日架が「自分のため」に嘘をついたことを告白するシーンです。
このシーンの面白いところは明日架が「はじめは無意識だった」と語っているシーンです。無意識に積み重ねていく嘘。
しかし、それは気が付いたときには自分を包み込むほどの大きさになっており、その明日架の感情が自分の血涙に沈む描写として表現されています。
嘘をつき、自分の人生にも嘘をつき、逃げられなかった明日架を上手に表現しているように感じました。
一方で、「だって、それしかできなかった!」からのあすかの感情の爆発のさせ方も良かったです。無くしていた(と思い込んでいた)感情が一気にあふれ出すような印象を受けました。
上でも少し触れましたが、明日架とあすかの立ち位置は今日平を失うことで分岐しました。「黄昏の王」は11話で自然の摂理と語られ、自分は”世間の声や時間の流れ”のことなのでは?と考察しました。
12話を見ると、もう少しシンプルに「人生で遭遇するどうしようもない理不尽」みたいなものと捉えるといいのかもしれません。
明日架にとってはそれが今日平を失うことでした。
”黄昏の王”に打ち勝つことは、ありえない理不尽にも向き合って未来への選択をやめないことによって成し遂げられるといえるのではないでしょうか。
夕焼けから朝焼けへの転換
最終回のテーマとしてぴったりだったのが、一番最後のシーンです。
味噌泥棒が登場し、アスカがまだ生存していることを匂わせる描写の後、明日架は海岸まで走ります。
この時刻が午後4:44ではなく、午前4:44であることが個人的には好印象です。広がるのは黄昏をイメージさせる夕焼けではなく、一日の希望に満ち溢れた朝焼けでした。
停滞する夜の黄昏から、未来へ向かう朝の暁、曙の情景へー。
明日架の晴れ渡った心情を表している描写とも取れそうな、本当に綺麗な朝焼けです。
いくつかの疑問点に自分なりに回答してみる
正直妄想に頼る部分が多くなるので、簡潔明瞭に書いてみます。ここはどうなんだ?という箇所があればコメントで残して頂ければ、と思います。
①明日架の性格がフラグメントで「異なりすぎる」のはなぜ?
A.明日架にとって、今日平を失うことの衝撃は非常に大きいものだった。そのため、”今日平の喪失”をきっかけに、多くの明日架へ分岐し、世界も分岐したと考えられる。
②今日平はどうなったのさ?
A.不明。個人的には明日架の成長のために犠牲になる”役目”を担っているだけの存在のようにも思える。ちなみに、明日架と今日平は双子だったんですね…(学年が一緒!)
③去っていったユウ、メガネを外した優の謎
A.あすかフラグメントのユウ(=エロ優?)は引越しと考えるのが自然。既に感情を捨てたあすかはユウと触れることで感情が蘇るのを恐れ、隠れたのでは。
A.メガネを外し、新たな自分へ向かうことの示唆ではないでしょうか。
④あすかはあの後どうなったの?
A.黄昏の世界では時間が進まない設定のため、黄昏から解き放たれた彼女は「今日平を失い、黄昏の力に触れた瞬間」まで引き戻されたと考えられる。今後の彼女に幸あれ。
⑤この後の展開は?
分かりません。「続きはゲームで」だけはやめてね!!
あかねさす少女 全体を通した評価、総括
冒頭で書いたように、かなり賛否両論分かれると思います。こういう締め方がとことん嫌いな人もいるでしょうし、逆に解釈の自由度がある分大好きな人もいると思います。
自分としては、11話を視聴した直後よりは落ちますが、それでも
3か月間見続けて本当によかったと思える作品
だったと思います。
正直、序盤はどうなることかと…。それでも、クロエ編から盛り上がりを見せ、特に9話~11話の展開は笑いあり、涙ありの素晴らしいエピソード続きでした!
最終回も嫌いではありません。ただ、少し難しすぎるなぁ…という感想はありますが。
未来へ向かって突き進むことで開く未来。欲を言えば、ほんの少し、もう少しだけ若いときに見られればより心に残る作品になったのかも?と思います。
アニメ「あかねさす少女」12話(最終回)の感想まとめとご挨拶
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というわけで、あかねさす少女最終回の感想・考察でした。
空前絶後の最強クールが終わりに近づいてきました。終わってしまった寂しさが今は強いですが、明日架同様、前を向いて進んでいきたいと思います。
実は、今クールで書いている記事のうちでは一番自由に、はっちゃけて書いていたのがこの「あかねさす少女」です。展開予測正解率は極めて低かったと思いますが(笑)、とても楽しい時間を過ごせました。
…少しでも当たってたのって9話の記事ぐらいだよなぁ。
最後になります。まずは、
このアニメを製作していただいた関係者の皆さん。本当にありがとうございました!
そして、このブログをチェックして頂いた皆さんには感謝してもしつくせません。ありがとうございます。少しでも自分の記事が「あかねさす少女」を楽しむ要素になってくれていればこれ以上の喜びはありません。
ちなみに、来期のアニメのおすすめ作品はこちらからチェック!
また、今期は「リリスパ」「やが君」「色づく」「青ブタ」も記事を書いています。よければ、こちらも覗いていってくださいませ!
それでは、本当にありがとうございました!!
今期他作品か、来クールか…。ぜひ、また別の記事でお会いしましょう。