八月のシンデレラナイン(ハチナイ) 9話 感想&考察!和尚様の伏線とホラー仕立演出の”狙い”
第9話「みんなでつないで、楽しんで」
ーそれは…秘密です(夕姫)
合宿回、大変に良きエピソードでしたね~。ホラー好きな自分としては大満足な構成でした!「野球×ホラー×いい話」ってそれなんてパワポケ?
というわけで、八月のシンデレラナイン(ハチナイ)第9話「みんなでつないで、楽しんで」の感想と考察になります。9話までのネタバレがあるので、未視聴の方はご注意を!
(注意:管理人は原作ゲーム未プレイです。ご了承を)
ハチナイ 9話のあらすじ・ネタバレ
大会が近づいてきたことから、里ヶ浜女子野球部は合宿を行います。智恵と神宮寺が自主練をしている寺で、泊りがけの合宿がスタートしました。
合宿の目標は「野球上達」と「皆仲良く」に決定します。龍による地獄ノック、早朝ランニング…と練習は続き、夕姫は龍・翼に投手をやることを勧められます。
寺の和尚様のアドバイスもあり、徐々に一同は成長していきます。そして、合宿終盤でとうとう龍の地獄ノックをクリアし、練習を見守る和尚に夕姫は一礼します。
その日の夜、あおいと良美が和尚の話をしていると龍が「和尚様って誰ですか?」と尋ねます。綾香が回したビデオを見ると映っていた和尚様の姿は無く、寺が停電してしまいます。
食器を洗っていた夕姫は和尚様の笑い声を聞き、外に出ます。和尚様は「野球も人生も楽しんだらいい」と夕姫にアドバイスをし、夕姫は投手への一歩を踏み出します。
顔を上げた夕姫の前に和尚の姿はありませんでした。翌日見事な投球を見せる夕姫に龍は驚きます。皆が見ていた”和尚様”は既に他界していた存在でした。
そして、里ヶ浜野球部の練習を遠巻きに見る女子の姿があったのでしたー。
以上です。
9話の感想と考察
「作画がー」と言われている当作品(自分は全く気になりませんw)ですが、絵の節約のために全く同じ風景を使うのは「上手いなぁ」と感心してしまいました笑
和尚様の伏線まとめ
9話で最も印象深かった和尚様のプチホラー描写。「和尚様が本当はいない」伏線が丁寧に張られていたので、1つずつ紹介していきます。
①吹き飛んだ練習メニュー
結果的に、龍と桃子先生は和尚様の存在を知らず、龍はあおい・良美の話を聞くまで和尚様をまったく目撃していない状況でした。
そのきっかけになったのが、龍・桃子先生以外の10人が和尚様に挨拶をしたシーンです。この場面で偶然にも龍が作成した練習メニューの用紙が吹き飛び、龍は挨拶に立ち会っていません。
この時点で「和尚を見た10人」と「和尚を見ていない2人(桃子先生も龍と同じ位置に立っている)」に分けられているんですね。
吹き飛んだ用紙を、龍以外のメンバーが取りに行ったり、逆に龍の用紙が吹き飛ばなければどうなったのでしょうか…?
②映らなかったビデオと、龍を映すアングル
その後、綾香が映しているビデオ越しの寺が映し出されますが…。
このビデオの中では和尚の姿は映されていません。見直すとこの時点で「和尚は存在しないのではないか?」と類推することができます。
右上の「●REC」がホラー感あって好きです。ちなみに、この後寺側から1人歩く龍の姿が描かれますが、この部分でも寺に和尚が立っていないことが分かります。
龍絡みのシーンでは和尚の姿は映されず、それ以外のシーンでは彼の姿が描かれているんですね。
③怪訝な龍の表情とカメラ
木魚を叩いて素振りをするといい、というアドバイスを和尚がしたシーン。
和尚様の姿が見えている面々はそれに従いますが、龍だけは綾香が突然木魚をたたき出したことで怪訝な表情を浮かべます(=龍には和尚が見えていないことへの伏線)。
で、ちょっと微妙なのが素振り練習を映しているビデオの映像です。後にビデオを確認した際には和尚様は映っていなかったようですが、これを見ると…?
赤で丸を付けた部分が綾香と和尚様が映っている(はず)の箇所です。これを見ると(いないはずなのに)綾香の横に人影があるように見えるのは私だけでしょうか…?
うーん、怖い。
④映らなかった足
野球盤で楽しむ2年生勢に「明日の練習に差し支えますよ?」と和尚様が声をかけたシーン。この場面の流れとしては
①ふすまが空く
②9時の鐘が鳴る
③和尚様が登場する
というものでしたが、①のふすまが空いたシーンでは、画面に和尚様の足が映っていません。鐘の音がいい塩梅で不気味さを演出していますね…。
2回目に見直した際に思ったことですが、龍目線では誰もいないはずなのにふすまが開いたってことになります。この時点で怯えるべきだったのではw
⑤夕姫が握ったボールの色
最後は夕姫が投手の練習を和尚様としたシーンです。
和尚様に対して夕姫が投げたボール。そのボールはどこからともなく転がってきたものですが、練習で使うボールよりも茶色く汚れているものになっています。
これは夜空の下で映し出されたシーンだったからそういう色に見えただけかもしれませんが、自分は和尚様が野球をしていた過去からボールが”送られてきた”ことの描写だったのかなと感じています。
と、いくつも「和尚様が現在は存在していない」ことをほのめかす描写がありました!自分が気が付いていないだけで他にもあるのかもしれません。
和尚様がメンバーの前に現れた「理由」
和尚様をホラー仕立てで登場させた狙いはいくつかあるように感じます。
その中でも「幽霊という存在による、里ヶ浜野球部のパワーアップイベント」と捉えるのが一番しっくりきます。
創部間もない里ヶ浜野球部が、他校と対等に戦うにはそれなりの説得力のあるイベントが必要です。
その中の1つが合宿だったわけですが、当然他校も同じように練習を重ねています。よほどセンスのある集まりでなければその差は縮まっていきません。
ただし、そこに”人ならざる者”の力を加えることで、通常の練習以上の成果が出た合宿になった→この後描かれるであろう好試合への布石という、分かりやすい流れが見えてきます。
そう考えると合宿の中で”監督役”だった龍と桃子先生にだけは和尚様が見えなかったことも、偶然ではなく必然の物に見えてきます。
特に夕姫・投手説は序盤から肩が強い&左投げということで想定出来ていた展開です。
投手というとても難しいポジションの習得に力を与えたのが「不思議な力だった」というのは何ともロマンティックで良いものです。
特徴的だった2年生へのスポットの当て方
合宿の中で自分が好きだったのが、部屋で野球盤を楽しむ2年生の姿です。
7話で伽奈や舞子にスポットが当てられ、その中でも家庭に問題を抱える舞子がどう自分の環境に決着を付けたのかは語られないまま今に至っています。
そんな中の合宿中の野球盤での遊び。2年生メンバーに溶け込んでいる姿が、彼女にとって「居場所」を見つけられたことを自然に表現しています。
無口な伽奈も一緒になって楽しんでいることで、普段多く描かれる1年生間の関係だけでなく、2年生メンバーも色々な意味で「成長」していることを感じられるシーンになっています。
そういえば、お風呂のシーンで舞子だけ顔が見えなくなっている場面がありました。
合宿について話している4人でしたが、もしかすると舞子は合宿が終わってしまうことを誰よりも憂いているので、表情を見せなかったのかもしれません。
にしても「魔球は1イニングに3回まで」というルールには懐かしさしかないw
作ったカレーが示す夕姫の性格
今回で「夕姫は相手のことを思いやりすぎる」ことが判明しましたが、この性格が一番出ていたのがカレーを作っているシーンです。
色々考えすぎた結果、ありとあらゆるものを入れすぎてカレーではない何かが誕生してしまいます。野球のプレー以外の部分で性格を描写し、”人ならざる者”の力で心持ちを変えて、ピッチャーになる…という過程がとても丁寧です。
もちろん、カレーに色々入れたのはメンバーを思ってのこと。
バカ舌?の良美がおいしそうにカレーを食べる姿を見て、優しそうな表情を浮かべた夕姫にノックアウトされかけた視聴者は自分だけではないはずです!
と、同時にハチナイメンバーで自分が一番お気に入りの良美さんが、おいしそうにカレーを食べているシーンも素敵でした。
良美×夕姫…。うーん、素晴らしすぎる。
アニメ「八月のシンデレラナイン(ハチナイ)」9話感想まとめと10話に向けて
というわけで、八月のシンデレラナイン(ハチナイ)第9話の感想・考察でした。
ひとまず次回予告には「最終回」の表示は無かったので、2週間分のエピソードは7月に放送するということでいいのでしょうか。まだ3回も見られると考えると嬉しすぎる!
次回第10話は「背中に翼」です。それでは、この辺で。
【追記:10話の感想・考察はこちらから!】