やがて君になる 3話 感想&考察!口パク考察と宙を描く侑の手の描写
第3話「まだ大気圏/わたしを好きな人」
ーだから、私は生徒会役員になりたいと思います。(侑)
相変わらずどっぷり作品に浸かることができます。今回の良演出TOP3は、星空を掴めない侑、明暗分かれた帰路、溶けるアイスです。がっつり考察していきますよ!
というわけで、やがて君になる 第3話「まだ大気圏/わたしを好きな人」の感想と考察を書いていきます。3話までのネタバレがありますので、未視聴の方はご注意を!
(注意:管理人は原作未読です。ご了承を)
やが君 3話のあらすじ・ネタバレ
生徒会選挙が近づいてきたとある日、帰りを侑と共にした燈子は侑の実家が本屋であることを知ります。そんな中、侑は朱里に誘われ、中学時代の友人と遊びに行きます。
映画を見た後、朱里が憧れていた先輩に振られてしまったことを知ります。周囲は朱里を励ましますが、侑だけは朱里の言葉を”何度練習したんだろう”と感じてしまいます。
旅行帰りに侑の家に燈子が訪れます。侑のことを「大好きだよ」と語る燈子から小型プラネタリウムを貰います。星空を見ながら侑は、燈子が自分を好きな理由を考えます。
そして、とうとう演説会当日。沙弥香の「燈子が大事な場面で失敗するのを見たことが無い」という台詞を聞きますが、燈子が不安そうな素振りを見せたのを侑は見逃しません。
自分の不安を見抜かれた侑に燈子は語ります。昔の自分の弱さ、”何か”がありそのままではいられなくなったこと、特別な自分であり続けたいこと。
侑は「弱いところ見せられたって今までと何も変わりませんよ」と告げます。その言葉に引かれるように燈子は侑の肩に身を預けます。
演説本番。侑は生徒の前でする演説の合間、自身の中に色々な想いが生じます。想いが高まった侑は「自分も生徒会役員になる」と宣言します。自分の言葉で…。
見事、燈子は生徒会長就任が決定します。その日の夜、侑は自宅でプラネタリウムを映し出します。星を掴もうと伸ばした手は、その星には届きませんでしたー。
以上です。
3話の感想と考察
冒頭でも書いたように今回も重厚なお話でした。
一方で、やはり燈子の過去には何かしらの影がありそうな雰囲気です。
朱里の行動・心情と「ありがとう」
まずはAパートで描かれた朱里の告白から。1話からバスケ部の先輩に憧れていることが示されていましたが、今回朱里の想いが届かなかったことが判明します。
まず触れたいのは侑を誘ったのが朱里本人であるという点です。更に、こよみたちが朱里を励ますシーンでこんなやり取りがありました。
こよみ「今はなんだかんだ言ってても、好きって想われ続けてたらその気になるもんじゃない?」
侑「そうなのかなぁ?」
朱里「…ありがとう」
あくまで”外野”の立場から朱里を元気づけようとする2人に対し、侑は2人の意見に同意せず、疑問形で「そうなのかなぁ?」と返答しています。
これは”特別”を知らない侑だからこその発言です。
誰かに想われ続けていても、その人を好きになるってもんじゃないー。現に侑は1話で中学生時代の友人を振っています。自分のことをずっと好きでいてくれた人を。
きっと朱里が求めていたのは”外野”の声ではなく、侑のこの発言だったわけで。
侑が朱里の発言に対して「練習したみたい」と考えていますし、実際そうだったのでしょう。だからこそ、侑が上記のような反応をすることも織り込み済みだったはずです。
自分自身の気持ちに決着を付けるため(=侑の反論によって、先輩を諦める”理由”ができる)か、いつもと変わらない侑の発言を聞いて元気を得たかったのかは分かりません。ただ、侑の発言を聞きたかったがために侑を誘ったのかな、と思います。
このシーンでの見どころはアイスが溶けていく場面です。自分が振られたことを語る朱里の表情は意外なほど晴れやかなものでした。
もちろん、それは侑の言う通り「何度も練習したから」でしょう。演説の練習を繰り返している侑の心情であるため、侑の考えには説得力があります。
それでも、裏では涙を流していたと思われます。友人たちの前で語っている場面でも悲しい気持ちは心に抱いていたでしょう。
その想いを涙を流させることなくアイスが溶けることで表現しきったのは本当にすごい、の一言です。溶けたアイスは朱里の涙の象徴であり、視聴者はすっきりと朱里の本当の気持ちを理解することができます。
その後の口元だけを映したシーンがまた良きですよね…!
侑の口パク考察
続いてはAパート最後に見られた侑の口パクなどから侑の心情の移り具合を。
侑は燈子からもらった部屋用プラネタリウムで星を映しながら、なぜ燈子が自分を好きになったのかを考えます。その後に見られたのが侑の口パクです。
読唇術のスキルは持っていませんが、頑張って考えてみます…!
・全部で5文字。4文字の可能性も。
・最初の2文字は口を大きめに開けている=「ア」の発音2連続?
・もしくは2文字目で一瞬口を閉じているように見える=2文字目は「ン」?
・次の文字は口を横に開いているので「イ」の発音(「イ」音があるのは確定)
・4文字目が判別不能。
・5文字目は少しすぼめた口で上の歯が見える=5文字目は「オ」の発音?
何回も(確か40回ぐらい)見たけどこれしか分からないのは辛いですね。自分としては
「わたしにも」か「せんぱいは」
だと考えています。2文字目を「ア」音で見るか「ン」で見るか…ですね。
前者であれば、自分にもそんな想いを描く日が来るのだろうかという気持ちを表現しています。
後者であれば、燈子が自分を好きになった理由を更に考えている侑を描いていることになります。
口横の線が2度見える気がするので、2文字目は「ン」の可能性が高そうですが…。
目のきらめきと燈子の決意
燈子の目がきらやかになるシーンが2回ありました。1度目は本屋の前で侑と話すシーン。もう1つは演説直前のシーンです。いずれも侑の目と対比されるように、直後に侑の表情が映し出されています。
1つ下の見出しで考察しますが、プラネタリウムで侑が掴もうとした「星」=「特別」だとすれば、目の中にきらきらしたもの(=星の比喩?)がある燈子には「特別」が見えていることになります。
逆に、きらめきがない侑にはまだ「特別」が分からないということを改めて表現しています。
もっとも、「特別でないことが特別」である侑に燈子が惚れたのだとすれば、侑が「特別」を見つけてしまえば、その時点で燈子との物語が終わることになってしまいますが…。
このキャプチャの直後に虹色っぽい感じで風景が一層きらきらするんですよね。
これは侑に「弱いところ見せられたって今までと何も変わりませんよ」と言われた後の反応になります。
3話の中では燈子の過去に”何か”があったことが示され、燈子は弱みを見せない人間になったことが彼女の口から語られました。
「特別な私でいたい」と語り、震える燈子の姿は「そうでなければならない」という信念で行動しているようにも見えます。
それでも、侑はそんな燈子の言葉や思いを一瞬で壊します。
”そうでなかったとしても”今までと変わらないという発言は燈子にとってどれだけ心強いものだったのでしょうか。
目がきらめき、一瞬虹色になったことから、この侑の発言をもって改めて燈子は侑を好きになったのでは、と思います。
3話も素晴らしかった演出の数々
上記以外の演出で気に入った部分を簡潔にまとめていきます。
間接キスのペットボトル
帰り道に燈子が侑に飲みかけのジュースを渡すシーンです。1回見た際には燈子がドギマギしなかったことが意外でしたが…。
もう1度見直すと、侑から返されたペットボトルの飲み口をじっと見る燈子先輩の姿が(笑)
直接照れさせるのではなく、こういった「間」で心情をうまく表現しているのがすごいところですよね。
侑・燈子で明暗分かれた帰り道
ペットボトルの後のシーン。分岐路で侑の帰り道は夕日が差し明るく、燈子の帰り道は影になっていて暗くなっています。
結果として燈子は侑の家まで行くことになるのですが…。Bパートで燈子に暗い過去があるらしいということを見てからこのシーンを見ると非常に印象深いものになります。
まるで、燈子は侑に出会わなければ暗い道を進む未来しか用意されていなかったことを表現しているようです。燈子は侑という明るい道を見つけられたのかなー…と。
燈子の過去は現時点では不明瞭です。
2話の考察でも書いた”あいつ”に関係があるのか…。それとも何かの大挫折で周りの信用を失った(と燈子は思い込んでいる)なんてことも考えられそうです。
宙で行き場を失う侑の手
3話の中で個人的なベスト・演出はこちら。プラネタリウムの星に手を伸ばしますが、手が宙を描くだけで何も掴むことはできません。
上でもちらっと書いたように星は侑にとって特別なものを表しているはずです。現時点での侑には、その「星」をまだ掴むことができませんでした。
タイトルにもあるように「まだ大気圏」なんですね。宇宙という”特別”な場所には届いていないため、星を見ることしか今の侑にはできません。
いつか侑は星に手が届く日が来るのでしょうか。それとも…。
EDの中では侑の独白で、「燈子の近くにいるために諦めるものがある」と語っています。
”特別”に近づくために地球という住みやすい場所を離れ、危険な宇宙へ向かう。今後、侑が身近な「何か」を捨ててでも、特別を追い求める場面があるのかもしれないですね。
OPで印象に残る描写
改めてOPを見ると、やっぱり素敵や…!そして、何とOPに出てくる花言葉を調べつくしているはてなブロガーさんがいました。スパイダースノーマットさんです。
すごすぎる、この記事…。これだけ花を調べつくすのは自分にはできません(;゚Д゚)
で、自分としてはOPの中で気になった1シーンを紹介しておきます。沙弥香が燈子に手を伸ばそうとしたシーンです。ここで沙弥香の前から燈子が消えてしまいます。
これは単に恋愛表現として、沙弥香が燈子への片想いをすること(既にしている気がしますが)を示しているのか、それとも…。燈子の失踪なんてならない…よね?
燈子の表情がよく読み取れなかったのも不安感を覚えます。
それにしても、1年の教室・2年の教室でその場からいなくなるのが侑・燈子というのが改めて見ると憎い演出です。
アニメ「やがて君になる」3話感想まとめと4話に向けて
TVアニメ「 やがて君になる 」エンディングテーマ「 hectopascal 」
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というわけで「やが君」3話の感想・考察でした。
1度見るよりも、2度・3度見た方が新たな発見があるアニメです。ぜひ、ここまで読んでいただいた方はもう1度3話を見てみてください。自分にも発見できていない素晴らしい演出がまだまだたくさんあるはずです。
はやく4話が見たいものです。それでは、この辺で。
【追記:4話の感想を書きました!】