やがて君になる 4話 感想&考察!侑にとって、燈子にとってのキス
第4話「好きとキスの距離/役者じゃない」
ーバカ言ってるとさせませんよ!(侑)
ドS男子、槙くん現るっ…!Aパートでは侑・燈子のかわいさが際立ち、後半では物語が動き出した感があります。そして、台本に書かれていた少女の名前は…?
というわけで、やがて君になる第4話「好きとキスの距離/役者じゃない」の感想と考察を書いていきます。4話までのネタバレがありますので、未視聴の方はご注意を!
(注意:管理人は原作未読です。ご了承を)
やが君 4話のあらすじ・ネタバレ
新生生徒会がはじまりますが、燈子は朝からニコニコ、侑を教室まで迎えに来て無自覚に距離を詰めるぐらいにはルンルンです。
生徒会は1年の堂島卓を加えた5人体制となります。燈子は今年の文化祭で「生徒会劇」を行いたいと提案します。7年前に途切れてしまった劇ですが、聖司・侑は乗り気ではありません。
生徒会の帰宅時間になりましたが、燈子の目線に気が付いた侑は燈子と共に生徒会室に残ります。用が無いのに生徒会室に残った侑を燈子は「優しい」と評します。
侑は燈子から「キスがしたい」と言われます。-侑がいつも許してくれるから”変わる”。侑は「興味が無いわけではない」という理由づけで燈子にキスを許可します。
この日の2人のキスを聖司が目撃していました。聖司は侑に鎌をかけたり、侑と燈子のやり取りを見つめたり、沙弥香を煽ったり(?)してみます。
そして、聖司と侑の2人で職員室まで赴いた際に、聖司が侑と燈子のキスを見たことを告げます。
侑は燈子が傷つくことを不安に思い、「燈子には言わないでほしい」と告げます。
聖司は昔から恋愛に対し”観客”の立場を貫いてきました。彼が見たいのはあくまでも2人の物語。侑には燈子に告げないことを約束しますが、同時に「小糸さんも七海先輩のこと好きなんだ」と言い、侑の心にも動きが見られました。
以上です。
4話の感想と考察
今回も素晴らしい以外の感想が思い浮かびませんでした。何も考えずに見るのであれば、Bパートの侑と燈子のわちゃわちゃシーンが一番尊く、心が浄化されるシーンです。まるで侑=飼い主、燈子=飼い犬のよう…と感じたのは自分だけ?
”好き”と”キス”の距離 ー Aパートのタイトルについて
まずはAパートのタイトルから。このタイトルは侑や燈子の立ち位置を端的に表現したフレーズになっていると思います。
Bパートラストの聖司とのやり取りがあるまでの侑は「特別」が分からない=恋心を理解できていない女の子です。
そんな侑が燈子にキスを迫られた際のやり取りがこちらです。
侑「いいですよ、別に、しても」
燈子「ほんとに?何で!?」
侑「別に嫌なわけじゃないですし…それに、興味が無いって言ったら…嘘だし」
燈子「何それ。好きじゃないのにキスしたいとか…侑、エロい」
燈子も言っていますが、侑は「好きではないけれどキスをしてもいい」というニュアンスの内容を燈子に告げています。
つまり、侑にとっては誰かを好きになることよりも、キスをすることの方が軽い気持ちで出来る(というと語弊があるかもしれません。侑にとっては「キスの方が好きよりも自分にとって”近い”」と感じています)わけです。
それでも、侑はキスをするシーンで燈子に対して「まつ毛長いな…」と感じるシーンがありました。
これは相変わらず侑が達観的な立場にいるとも取れますが、燈子のことをしっかり見るようになったとも考えられます。尊い、尊い!
…無自覚なだけで既に七海先輩のこと気にしてるんですね。(CV.市川さん)
逆に燈子にとっては、好きだからキスをするという順序なわけで。直前に燈子も語っていますが、好きという思いが爆発して、いてもたってもいられなくなるというスタンダードな心情・行動を見せています。
2話で、踏切列車のシーンにて燈子が侑にキスをしたときも燈子は「私の好きってこういうことしたい好きだったんだ…」と言っています。
やっぱり、燈子にとっては好きだからこそ、次のステップのキスがあるという捉え方をしています。
侑:キス→好き、燈子:好き→キスという順序で描かれています。Aパートのタイトルである「好きとキスの距離」。このタイトルを自分なりに補足すると
「(彼女らにとっての)好きとキスの距離(感の違い)」
と言えそうです。侑にとってのキス(興味主体)と燈子にとってのキス(好きだからする行動)はこの時点では決定的な違いがあるように感じました。
台本の七海姓と燈子の発言との矛盾
2話、3話、4話と情報を小出しにしてくるあたりこの作品のいやらしさ(褒め言葉)を感じます。侑が書類整理の際に見つけた7年前の台本。その中には…七海澪という名前が記されていました。
燈子は3話で家族構成について「両親と私だけ」と語っています。2話の職員室のやり取りに合った「あいつも喜んでいるでしょう」という発言。とうとう、作品の肝になるであろう部分が顔をのぞかせてきました。
7年前ということで、澪さんは燈子の姉か従姉あたりである可能性が高いです。職員室での会話から、澪さんは亡くなったか失踪した…と考えるのが自然です。
劇が未完の状態で姿を消したのであれば、内容にも説明が付きます。もしかすると、3話で燈子が震えていたのは
澪が残した(遺した)劇を完成させるために、必ず生徒会長になる必要があるプレッシャー
が原因だったのかもしれません。
現時点ではこれ以上の考察が難しそうです。5話以降も情報が小出しで出てくると思うので、そこでまた考察してみます。
聖司が物語に生み出すアクセント
4話でのメインキャラクター槙聖司について考察していきます。
逆に”男だから”この演出が成り立つ!
2話の感想記事で自分は、この作品に対し以下のように書きました。
突然の告白、突然の放置、突然のキス…。これらは男女の恋愛ラブコメでは描くことが困難でしょう。
誤解のないように記しておくと、燈子が男だとすれば、多くの視聴者のヘイトを集めるだろうな…という思いから書いたものです。
で、今回。侑と燈子という女性同士の恋愛に対し、男子である聖司が突っついてきました。もし聖司が女性であれば、かなりドロドロ展開になっていた気がします。
これ以上女性が介入すると四角関係になってしまうので、そういった意味で男子である聖司に目撃させる必要があります。
女性と女性の恋愛に対し、男子の介入が入るというのは、聖司があくまでも第三者であることを印象付けることにもつながっています。
すべてのキャラを女子キャラにしてしまえば避けられないギスギス感を槙聖司というキャラクターが払拭してくれた、そんなことまで感じます。
え?普通は男に知られた方が、男からのアプローチがあるから危ないんじゃないかって?これは百合空間だからいいんだよ、そんなことは!
既に彼は「観客」ではない
侑の「特別が分からない」という感情にヒントを与えたのは聖司でした。むしろ聖司の発言が無ければこのまま侑は自覚のないまま時を過ごしていたことになります。
沙弥香にも知ってか知らずか侑と燈子の話をしていますし、もはや聖司は自分で言っている「観客」では無いですね。その劇の監督と言った方がよいのではないでしょうか。
もしくは我々視聴者を劇中に投影した存在、とも言えるかもしれません。そういった意味では「観客」という表現も間違ってはいないのか。
安心できるのは、今後聖司が周囲の人間に生徒会の人間関係について吹聴することは間違いなくないであろうということです。
彼が思い浮かべていた劇場には聖司以外の観客はいませんでしたし、彼の思考的にも言うメリットは無さそうです。
となると、聖司がどこまで侑・燈子・沙弥香に対して干渉してくるのかが今後のポイントになりそうです。
彼女らが行き詰った際に、何かしらの発言で人間関係を動かすのが監督・槙聖司の役割なのかもしれません。
4話における見どころ演出
最後に4話の好演出まとめです。
ピタッと止まり、目線をそらす沙弥香
沙弥香さんが色々怖かった聖司とのやり取りです。こういった細部の描写も分かりやすく、かつ自然に写してくれるのが「やが君」の見どころの1つです。
聖司の「七海先輩って小糸さんのことすごく気に入ってますよね?」という台詞で沙弥香のバインダーをしまう手が一瞬止まります。
止まっただけではなく、この表情です。怖い、怖すぎる…。
その後も沙弥香はぐいぐい来る聖司をちらっと見ては目線を外したり、とかなり気にしてる様子。バインダーを机に置き、そのバインダーが滑るシーンは沙弥香の心情を表しているようで面白いです。
表向きはにこやかな沙弥香の今後の行動が楽しみになった一幕です。
2羽の蝶が示すものは
聖司と侑のやり取りの中で2匹の蝶が出てきました。
1匹は花に止まり、1匹は周辺を飛んでいます。蜜を吸っている蝶は「特別」を知っている燈子で、周辺を羽ばたいている蝶は侑でしょうか。
聖司の発言を侑が聞いた後蝶は消えてしまった…と思いきや、聖司の背後を2匹で羽ばたいていきます。
”聖司の劇場”の中に蝶が入ってきて、聖司にとっての新たな物語が始まります。侑が不安に感じたシーンだけ蝶が元いた花の場所から離れ、姿が見えなくなっている演出がとてもGOODです。まるで彼女の心情までも表しているかのようです。
聖司から出てきた黒い影
侑が聖司に燈子とのキスシーンを見られたと知った際の描写も面白いです。聖司の立ち絵から影が伸び、悪魔のような姿が描かれ、人々の噂話が始まります。
今期で言えば「青ブタ」でも同じような内容がありましたが、誰かを発端にした噂の広まりはとても早いものです。
たとえその人に悪意が無かったとしても、1つの噂はあっという間に広がり、当事者を傷つけます。そういった意味での悪魔のように見える表現ではないでしょうか。
この場面では侑と暗闇にたたずむ燈子の間に、噂の発信源になりうる聖司、そして多くの生徒の姿があります。
一度噂が広まってしまうと、これらの人々の波をかいくぐり燈子に会いに行く必要があります。噂に立ち向かうことの困難さも見事に表現されていますね。
アニメ「やがて君になる」4話感想まとめと5話に向けて
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というわけで、4話の感想記事でした。…1~3話までの記事に比べてまとまりがない記事になった気がする。
3話の記事はやが君編集担当のクスノキ様にRTされたり、複数コメントをいただいたりと非常に励みになる反応がありました!ありがとうございます!!今後も多くのコメント等いただければ(原作ネタバレを除く)とても嬉しく思います(´▽`*)
それでは、この辺で。
【追記:5話感想・考察をアップしました!】